eTPP 成長戦略の柱に
- 2016.04.08
- 情勢/経済
公明新聞:2016年4月8日(金)付
幅広い分野で経済効果
再生産可能な農業を維持せよ
衆院特委 上田氏が総括質疑
衆院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会は7日、安倍晋三首相らが出席してTPP承認案と、TPP発効に向けて国内制度を整備する関連法案について総括質疑を行い、公明党から上田勇政務調査会長代理が質問に立った。
上田氏は、TPPの内容について、「日本にとって十分にバランスの取れた有益なもの」と評価。世界の国内総生産(GDP)の4割を占め、約8億人の人口を有する、大規模な自由貿易圏での経済活動は「将来にわたる日本経済の成長戦略の重要な柱だ」と強調し、国民にTPPの意義やメリットを広く伝えていくことの必要性を訴えた。
安倍晋三首相は、日本が人口減少の局面に入った中でTPPは、日本経済を成長させるチャンスであるとし、「TPPに参加したことによって豊かになったと国民が実感できるように全力を尽くす」と答えた。
TPPで期待できる経済効果について上田氏は、GDPを13.6兆円押し上げ、雇用を79.5万人創出するとの政府の試算を挙げながら、「幅広い分野でさまざまな効果があり、日本経済と国民生活に非常に大きなメリットがある」と指摘。
中でも、工業製品の99.9%の品目で関税が撤廃され、その中には中堅・中小企業の関わりが深い自動車部品や繊維、陶磁器なども含まれるほか、通関手続きの簡素化・迅速化や外資規制緩和も後押しとなり、「大企業だけでなく、中堅・中小企業にとっても新たにビジネスチャンスを提供するものだ」と評価した。
安倍首相は「自由で公正な競争を促していけば、イノベーション(技術革新)が起こり、新たな産業や雇用も生み出される」と応じた。
一方、上田氏は農林水産物の関税撤廃に伴う生産者の懸念に言及。コメなどの重要5品目を中心に、輸入を政府が一元管理する国家貿易制度の堅持、セーフガード(緊急輸入制限)など直ちに重大な影響がないような対応とともに、「総合的なTPP関連政策大綱」に明記された各種対策を踏まえ、「政府は再生産可能な農業が維持できると認識しているか」と確認した。
森山裕農水相は、万全な対策を講じながら「新たな国際環境の下でも、希望を持って所得の向上を図り、経営発展に取り組めるような農政新時代を切り開いていく」と答えた。