eふるさとテレワーク 地方創生の有益な施策めざせ
- 2016.04.22
- 生活/生活情報
公明新聞:2016年4月22日(金)付
情報通信技術(ICT)を活用し、地方でも都会と同じように働ける環境をつくる「ふるさとテレワーク」。地方創生の有益な施策として、この取り組みを応援していきたい。
総務省は、2015年度にふるさとテレワークの実証事業を全国15カ所で実施。16年度予算には、企業や自治体に導入費用を補助する事業(1件当たり上限4000万円)を盛り込んだ。普及にかける意気込みが伝わってくる。
テレワークとは、パソコンや携帯電話を使って自宅や外出先などで仕事をするなど、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のこと。とりわけ、子育てや介護に携わる人、身体に障がいのある人などにとっては、働きやすい形態と言えよう。
米国では9割近い企業が導入しているのに比べ、日本ではようやく1割を超えた程度だが、実施企業・団体は着実に増え続けており、離職率の減少も報告されている。公明党も「働き方改革」の視点から積極的に推進してきた。
この仕組みを通じて、企業や人材を地方へ誘致し、地方創生につなげていくのが、ふるさとテレワークの狙いだ。地方にサテライトオフィスを設けて本社業務の一部を行ったり、移住した起業家が都会の仕事を受注したりするなど、総務省は四つの類型を想定している。
地方創生のポイントの一つは、生活するための雇用が、そこにあるかどうか。その意味で「いつもの仕事を、どこにいてもできる」という環境の実現は、人口減少に頭を悩ます自治体と、地方への移住希望者の双方にとって、非常に魅力的なものとなろう。
ただ、テレワークを取り巻く課題は少なくない。企業が導入をためらう理由として「適した仕事がない」「情報漏えいが心配」「メリットがよく分からない」という声は根強い。地方におけるICT関連の人材育成も急がれる。さらに、賃金や勤務時間など労務管理をめぐるルールづくりに関しても、関係省庁間での連携・調整が不可欠である。
本格的な普及に向けて、政府は引き続き周知・啓発に努めながら、こうした課題を一つ一つ解決してほしい。