e災害時の情報収集でバイク活用

  • 2016.04.26
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年4月26日(火)付



ボランティア団体と協定
機動性生かし対策を円滑に実施
東京都



災害時にオフロードバイクを活用した情報収集活動を強化するため、東京都は3月30日、災害ボランティアバイクネットワーク関東(東京都豊島区)と協定を結んだ。阪神・淡路大震災や新潟県中越地震でもオフロードバイクの高い機動性が生かされ、人命救助のほか物資の運搬、情報の伝達などに威力を発揮した。今回の熊本地震でも、陸上自衛隊のオフロードバイクが被害の情報収集や状況掌握に努めるなど活躍している。災害時のバイク活用については、都議会公明党(長橋桂一幹事長)の伊藤興一議員らが強力に訴えてきた。


交通規制された道路の通行、燃料補給で後押し


建物が倒壊し、がれきや倒木があちこちに散乱、道路は寸断される......。大規模災害が起きると、自動車はほとんど役に立たない。こうした被災地で情報収集や応急・復旧対策などで活躍するのがオフロードバイクだ。

都と協定を結んだ災害ボランティアバイクネットワーク関東は、一般社団法人日本二輪車普及安全協会などが母体となり、2005年8月に設立。1都9県の支部で構成され、約656人(12年8月末現在)が所属。大規模災害に備えて、日々腕を磨いている。

大規模災害時には道路損壊による悪路をオートバイで走り抜け、被害状況を把握し、都に報告する。都側は応急・復旧対策を円滑に実施するため、交通規制された道路での通行や燃料補給などの面で活動を後押しする。

協定締結式で田邉揮司良・都危機管理監は、30年以内に70%の確率で発生すると予想されている首都直下地震に触れ、普段からさまざまな手段を講じておく必要があるとして、「災害現場に強いオフロードバイクの有用性は期待できる」と述べた。

その上で、都民の安全・安心に万全を期す考えを示し、「バイク隊の皆さまの安全確保や支援体制を構築していく」と強調。同ネットワーク関東で、バイク隊の隊長を務める神谷忠さんは「万が一の際に貢献できれば」と抱負を語った。


公明都議の訴えが導入のきっかけに


災害時におけるオフロードバイクの活用は、伊藤議員が静岡市のオフロードバイク隊(愛称・スカウト)の取り組みを参考に、14年3月の都議会予算特別委員会で提案。「災害発生直後に積極的な情報収集を行うための機動的移動手段としてオフロードバイクを導入すべきだ」と主張し、バイク隊の創設を求めた。

これに対し、舛添要一知事は「大変貴重な提案」と述べ、「今後、都民の生命と財産を守るには情報収集が基本。前向きに取り組む」と答弁した。

さらに都は、公明党の要望を受け、15年9月に都総合防災訓練において、オフロードバイクの実効性と活用について実地検証を行った。

これを受け、今年の第1回定例会で都は検証の結果を報告。「オフロードバイクの有用性は確認できた。都として自動二輪業界の協力を得て、災害ボランティアバイクネットワーク関東との協定締結を早期に行い、災害時の情報収集体制の一層の強化を図る」と回答していた。

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