eコラム「北斗七星」
- 2016.05.09
- 情勢/社会
公明新聞:2016年5月5日(木)付
子育てと親の介護を同時に担う「ダブルケア」に直面する人は全国で約25万人に上る。先月28日に内閣府が初の推計結果を発表したが、該当者はもっと多いと指摘する専門家も。家庭での男性の協力が心もとないと、女性に重い負担がかかる◆ダブルケアが近年、問題となっているのは、この負担が女性一人で背負い込むには、あまりにも重すぎるからだ。幼子の面倒を見ながら、親を介護する生活は肉体的にも精神的にも大変だ。加えて、育児と介護のそれぞれに出費が迫られ経済的な負担ものしかかってくる◆内閣府の調査によれば、ダブルケアの8割が30~40代の働き盛り。仕事をしていた女性の17.5%が両立できずに離職していた。仕事に影響を与えた理由は「家族の支援がなかった」との回答が最多に◆晩婚化に伴う出産年齢の高齢化で、親の介護の時期と子育てが重なってしまう人はさらに増えるとみられている。「もう限界」となる前に、行政が育児と介護を連携させた相談窓口を設けるなど支援体制の充実が急がれる◆きょう5日は「こどもの日」。子どもと一緒に過ごすお父さんも多いと思うが、8日には「母の日」を迎える。ダブルケアが人ごとではない時代を迎える中で、家庭ではお母さんを支え"ダブル"でケアに取り組むお父さんの役割がやっぱり重要だ。(辰)