eこどもの日 社会全体で見守り育てる機運を
- 2016.05.09
- 生活/生活情報
公明新聞:2016年5月5日(木)付
いつの時代も、未来を担いゆく子どもたちは社会にとって宝の存在である。
「その笑顔 未来を照らす 道しるべ」―。「こどもの日」のきょうから始まる児童福祉週間(11日まで)の標語だ。作者は13歳の少女。未来に思いをめぐらせる様子が伝わってくる。全ての子どもが夢や希望を抱けるよう、社会全体で見守り育てる機運を高めていきたい。
一昔前の大人は、自分の子はもちろん、他人の子どもでも叱ることが当たり前だった。叱るだけでなく何かと声を掛けるなどいい意味での「おせっかい」を焼く大人の存在は、社会生活に必要な知識やルールを子どもたちが学ぶ上で貴重だったのではないか。
また、高齢化による町内会活動の衰退などで地域内のつながりが希薄になり、地域における「教育力」の低下も指摘されている。あらためて私たち大人、そして地域社会には、子育てに果たすべき役割を見直すことが求められている。
国立青少年教育振興機構の「子どもの体験活動の実態に関する調査研究」によると、地域との関わりが子どもの頃に豊富な人ほど成人後の物事への意欲や関心、人間関係能力が高いとの結果が出ている。
三重県尾鷲市では、市職員や子育て中の市民、子育てを終えた市民らによる「尾鷲子育てまちづくり座談会」を開催し、地域ぐるみで子育てを支援する「おせっかい隊」の始動に向け準備を進めている。市民が地域の子どもに昔の遊びを教えたり、子育て中の親の相談相手になることが期待されているという。「おせっかい」再生の取り組みとして注目したい。
こうした行政と住民の協働は、各地でも参考になるはずだ。地域が持っている力を引き出すことは、深刻な社会問題となっている子どもの貧困や児童虐待などへの対策としても有効だろう。
併せて、子どもが健やかに成長していく上で、子育て世帯への支援策も欠かせない。
公明党は、参院選の重点政策などで、低所得者世帯の給食費補助や子ども医療費無料化の拡充などを掲げた。どの政策も着実に実現させ、誰もが安心して子育てできる環境を築いていく決意だ。