e熊本地震 「再び通学」願いかなう
- 2016.05.10
- 情勢/社会
公明新聞:2016年5月10日(火)付
代行バスが運行開始
阿蘇市など
「これで再び学校に通えます」―。熊本地震の影響でJR豊肥線・宮地駅(熊本県阿蘇市)から肥後大津駅(同県大津町)間の運行を見合わせているJR九州は9日、不通区間を通学や通勤で利用する住民を対象に、代行バスによる運行を開始した。これは、住民の窮状を知った公明議員のネットワークの力が後押しとなったもので、学生らから喜びの声が上がっている。
住民の声受け公明が後押し
代行バスは午前5時が始発で宮地、肥後大津両駅をそれぞれ出発。上下線で午前中9本、午後は10本運行する。一部通行止めがある国道57号の代わりに県道339号を使って迂回するため、列車より40分ほど遅い約1時間35分で運行。JRの定期乗車券などで利用できる。
阿蘇市から熊本市内の専門学校に通う宮本一杜さん(18)は、学校が再開後も通学を断念していた。4月30日、父親の光治さん(51)から「家族で送迎もできない。代行バスなどがあれば」との相談を受けた公明党の森元秀一・阿蘇市議が、氷室雄一郎・熊本県議に連絡。氷室県議が県教育委員会に早期対応を求めていた。
宮地駅では9日、夜明け前の午前5時始発の代行バスに、熊本市内の高校などに通う生徒らが次々と乗り込んだ。駆け付けた氷室県議と森元市議は「大変な中だけど勉強に頑張ろう」と優しく声を掛けながら見送った。「こんなに早く通学ができるようになり、息子も喜んでいます」と、光治さんも安堵の表情を浮かべていた。
8市町村 小中62校が再開
9日には、熊本市の一部や阿蘇市のほか、益城、大津など5町や南阿蘇村で計62校の小中学校が再開された。最大震度7を2回観測した益城町では同日午前、小中学校7校のうち、校舎の一部に危険な場所がある木山中の生徒が、教室を間借りする近くの小学校に登校。午後には、残る6校も再開した。
町教委は、学校から遠い避難所にマイクロバスを出すほか、通学路付近で建物が崩れそうな場所に教職員を配置し、迂回させる。
再開初日は、児童・生徒の心と体の状態について教員が聞き取って記録。定期的に聞き取りを続けながら、スクールカウンセラーらと連携してケアに生かしていく方針。森永好誠教育長は「一番大事なのは子ども一人一人との対話。様子の変化に丁寧に対応していかないといけない」と気を引き締めている。