e性的少数者 多様性認め、差別のない社会へ
- 2016.05.13
- 情勢/社会
公明新聞:2016年5月13日(金)付
人それぞれ見た目や考え方が異なるように、性のあり方も多彩だ。民間企業の調査によると、国内の13人に1人はLGBT(同性を愛する人、同性も異性も愛する人、心と体の性別が異なる人)といった性的少数者だという。一人一人の多様性を尊重した、差別のない社会を築きたい。
東京都渋谷区や世田谷区など一部の自治体で同性カップルを認める制度が始まったこともあり、性的少数者への理解は広がりつつある。2012年から春の大型連休に合わせて毎年都内で行われている、性的少数者への理解を呼び掛ける大型イベントに、今年は過去最多の7万500人(主催者発表)が参加した。
一方で、偏見を捨てきれない人もいる。無視、嘲笑、言葉の暴力―。形は違えど性的少数者に対する無理解は、学校や職場などで表面化している。自分の存在自体を否定されたように感じ、自殺に追い込まれるケースもあり、正しい理解を広げる取り組みが求められている。
公害の被害者や障がい者など、社会的に弱い立場に置かれた人たちを守ってきた「人権の党・公明党」は、党内に「性的指向と性自認に関するプロジェクトチーム(PT)」を設置し、差別解消に向けた議論を続けている。法整備も視野に入れ、どこまでも一人を大切にする精神で取り組む決意だ。
性的少数者が生活しやすい環境をつくることも欠かせない。例えば性差が浮き彫りになるトイレの問題がある。NPO法人などの調査では、性的少数者の半数がトイレを利用する際、「常に困る」「時々困る」と回答した。日常的にトイレを我慢するなどして、心と体の性別が異なる人の4人に1人は排せつ障がいを経験している。こうした人たちが安心して使えるトイレのあり方は検討課題の一つだ。
日本の取り組みは緒に就いたばかりだが、2011、14年に行われた差別と暴力の廃絶をうたう国連人権理事会決議の採択ではリーダーシップを発揮し、昨年には、LGBT問題を考える超党派の国会議員連盟が発足した。この機運を生かし、性的少数者への支援を進めたい。それは、政府がめざす「1億総活躍社会」の考え方にも合致する。