e補正予算成立 まず住まいの確保。執行急げ
- 2016.05.18
- 情勢/解説
公明新聞:2016年5月18日(水)付
熊本地震の復旧、被災者支援のための総額7780億円の2016年度補正予算が17日、成立した。
広範囲で甚大な災害への対応は、国の強力な支援なしには立ち行かない。政府は、被災自治体との連携を密にしながら迅速かつ円滑な予算の執行に全力を尽くし、復旧・復興をさらに加速させてほしい。
今、被災者にとって最大の願いは、一日も早い住まいの確保だ。それが生活再建の第一歩であり、復興の前進にもつながる。
発災から1カ月以上が経過したが、避難者は1万人を超え、長引く避難所生活による心身の負担が原因で亡くなったと思われる人が増えている。車で寝泊まりする人も多く、エコノミークラス症候群も相次いでいる。こうした健康被害の拡大を抑えるためにも、住宅の確保が急務である。
しかし、仮設住宅の着工数は今のところ約1700戸にとどまる。全ての被災者が新たな住まいを得るには、まだ時間を要する。
補正予算には、1万5000戸分の仮設住宅の建設など、住まいの確保費用が盛り込まれており、建設を急ぎたい。民間住宅などを行政が借り上げる「みなし仮設住宅」も積極的に活用したいが、罹災証明書の発行が遅れ入居できないケースも起きている。自治体は、柔軟な対応で早期入居に取り組んでもらいたい。
さらに「みなし仮設住宅」や仮設住宅の建設戸数などの全体像を早急に示し、被災者が先行きを考えられるよう配慮する必要がある。
補正予算の多くは、あらかじめ使途を決めずに道路や橋などのインフラ復旧、被災した中小企業支援など必要に応じて使えるようにした。予算編成に当たって公明党が政府に提言していた点だが、執行の透明性は重要だ。今後は、党の持つ議員ネットワークの力を存分に生かし、被災地のニーズを事業内容に反映させていきたい。
今回の補正予算と本予算で手当て済みの予備費を合わせ、1兆円規模の財政支援が実現する。ただ、被害総額はまだ判明していない。被害総額の確定後、必要に応じて追加の財政支援も検討すべきだろう。切れ目のない被災地支援が不可欠だ。