e熊本地震 急がれる子どもの心のケア

  • 2016.05.19
  • 生活/生活情報

公明新聞:2016年5月19日(木)付



変調訴える電話相談相次ぐ
「『夜が怖い』と泣き出す」
「甘えるようになった」など



熊本地震で被災した子どもたちの心の傷は深く、メンタルヘルスケア(心の健康対策)が喫緊の課題となっている。被災児たちの実情と、課題解決に奔走する公明党の取り組みを追った。


専門の人材と窓口設置を


公明、調査・申し入れなど対策に全力


「ずっと揺れている気がする......」。熊本県益城町の避難所、町総合体育館で、上村龍生くん(5)は不安げな表情でつぶやいた。

龍生くんは、同町木山で両親と母方の祖父母、弟2人の7人家族で暮らしていたが、地震により自宅が大規模半壊の被害に遭った。車中泊を経て、現在は熊本市内の父親の実家で生活している。祖母の中村かずよさん(66)によると、龍生くんは本震が起きた午前1時25分ごろになると目を覚ますことが多いという。かずよさんは「孫はまだ事態が理解できる年齢ではなく、知らないうちにストレスをため込んでいないか心配」と表情を曇らせた。

熊本地震の発生から1カ月が経過した。だが、震度1以上の余震は1489回(18日午前9時現在)を数え、被災者の緊張感は今も高まる一方だ。熊本市教育委員会は、被災した子どもたちの心身への影響を調べるため、市立小・中学校の全児童・生徒6万1039人にアンケートを実施。16日、「カウンセリングが必要」と思われる子どもが2143人いたことを発表した。

県内の児童相談所には、「『夜が怖い』と泣き出す」「乱暴になった」「いつもより甘えるようになった」など、子どもの変調を訴える保護者からの電話相談が104件(17日時点)に上っているという。今後も件数は増えるものと見られ、県健康福祉部子ども家庭福祉課の冨永章子課長は「学校や家庭など社会全体で支援する姿勢が大切」と語っている。

そんな中、子どもの心的支援を図ろうと、非政府組織(NGO)「ワールド・ビジョン・ジャパン」(東京)が避難所の益城町総合体育館で、子どもの遊び場となる「プレールーム」を開設。また、熊本市子ども発達支援センターも心的外傷(トラウマ)で家に帰りたがらない子どものために、絵本「やっぱりおうちがいいな」を作製し、活用を呼び掛けている。

一方、公明党も子どもたちの心のケアのために、全力を挙げている。山本香苗党女性局長(参院議員)は5日、同町でNPO団体のメンバーらで構成する「熊本子ども・女性被災者支援ネット」の代表との意見交換を実施。13日の参院本会議で、避難所の生活に女性や子どものニーズが反映されていないことを指摘し、迅速な改善を求めた。

また16日には、党県本部女性局(藤岡照代局長=熊本市議)が県と市に対し、女性や子どもの視点を反映した熊本地震からの復旧・復興に関する要望書を提出。この中で、「被災した親子への心のケア強化」の重要性を強調し、「親と子どもの心の不安を気軽に相談できる窓口の設置と、その窓口の周知徹底が必要」と訴え、子どもの心のケアができる専門性の高い人材の確保と育成を強く求めた。

今も余震が続く中、傷ついた子どもたちの心のケアが急がれる。

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