e都市農業 担い手を確保し、持続可能に
- 2016.05.20
- 情勢/解説
公明新聞:2016年5月20日(金)付
都市農業振興基本計画が13日に閣議決定され、衰退の一途をたどっていた分野に今、ようやく光が当たろうとしている。都市農業とは、都市計画法に定められた市街化区域内と、その周辺で営まれる農業を指す。3大都市圏を中心に新鮮で安全な農産物の供給や、環境保全など多様な役割を担ってきた。
経済成長に伴い、急激な人口流入によって都市部では住宅不足が起き、農地の宅地転用が促された。まちづくりは国土交通省、農業振興は農林水産省という縦割り行政の谷間に置かれ、都市農業は縮小し続ける。市街化区域の農地は過去40年間で27万ヘクタールから7.7万ヘクタールとなった。
都市農業が衰退していった最大の要因は、都市農地の保全に関して法律上の位置付けがなかったことだ。それが、公明党の強い推進で昨年4月に成立した都市農業振興基本法によって、都市に「あるべきもの」と初めて位置付けられた。同法に基づく今回の基本計画によって、各種の政策が具体化していくことになる。
公明党は、2005年に都市農業振興プロジェクトチームを設置。現場視察や生産者からの聞き取り調査を重ねて、持続可能な都市農業の実現に挑んだ。その論拠として、▽人口減少により都市農地を宅地に転用する必要性が低下した▽新鮮で安心して口にできる農産物のニーズが高まった▽農地には火事の延焼や水害を防ぎ、地震発生時の避難場所としての役割も期待できる―などを指摘し、振興基本法の議論をリードした。
今後の課題は、税制改正や担い手確保の具体策だ。公明党は昨年11月に発表した都市農業振興に向けた提言の中で、相続税の納税猶予や固定資産税の優遇などが受けられる「生産緑地」の指定要件(単独または一団の農地で面積500平方メートル以上)の緩和を主張している。
500平方メートルを下回る農地も生産緑地に指定できないか検討を促す。さらに多様な担い手の確保につなげるため、賃貸した場合にも相続税の納税猶予を認めることを検討課題に挙げている。
公明党は、安心の営農環境を次世代に継承するため、これからも都市農業を全力で支える決意だ。