eヘイトスピーチ解消法成立

  • 2016.05.26
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年5月26日(木)付



差別許さない社会つくる
損害賠償裁判など 解釈・判断の重要な指針
党プロジェクトチーム座長 遠山清彦 衆院議員に聞く



24日の衆院本会議で、自民、公明の与党両党が参院に提出し修正議決されたヘイトスピーチ(憎悪表現)の解消推進法が成立した。党ヘイトスピーチ問題対策プロジェクトチーム(PT)の遠山清彦座長(衆院議員)に法律の意義とポイントを聞いた。


―なぜ、この法律が必要なのですか。


遠山
近年、平穏な住宅街などに大勢で押し寄せ、スピーカーなどを使って大音量で「○○人を殺せ」などと罵るヘイトスピーチやヘイトデモが問題となってきました。昨年7月に公明党が政府に提言したことをきっかけに初の実態調査が行われ、ヘイトスピーチがいまだに沈静化していないことが明らかとなりました。

特定の人に対する侮蔑的表現が許されないことは従来の法律でも明らかでしたが、「○○人」という不特定の人に対する差別的表現についての国の態度は不明確でした。そこで公明党が主導し、こうした言動は「許されない」ことを国および国民の意思として宣言したのが今回の法律です。


―具体的な効果は。


遠山
例えば、ヘイトデモなどで警察がコース変更を促せます。また、自治体における騒音防止条例などの解釈指針となり、結果的にヘイトデモの中止につながります。

さらに、損害賠償の裁判などでは、この法律が解釈指針となり、訴えが認められやすくなります。何より、これまで「法律がない」ことを理由に対策に及び腰だった地方自治体の取り組みを加速させるとともに、「差別的言動がない社会をつくろう」という国民の機運を高め、ヘイトスピーチの解消推進が期待されます。


―今回の法律では、ヘイトスピーチを「禁止する」ではなく、「許されない」としました。


遠山 特定の言論を国が「禁止する」ことは、禁止される言論か否かの解釈・判断を国家権力に委ねることになります。

これは、ヘイトスピーチと関係ない表現が規制され得ることを意味し、憲法上の権利である「表現の自由」が侵害される懸念が出てきます。そのため、国民が主体的にこのような言動は「許さない」と宣言する理念法としました。


公明、表現の自由に配慮


―法制定までの公明党の取り組みは。


遠山
公明党はPTを2014年に立ち上げるとともに、参院法務委員会で与党として初めてヘイトスピーチ解消のための理念法の必要性を訴えました。

自民党は当初、このような法律に否定的でしたが、これを説得し、すでに独自の対案を提出していた野党も、最終的に「表現の自由」に配慮した与党案に賛成しました。

今回の法律の要であるヘイトスピーチの定義や基本理念は公明党の主張によるものです。衆参の法務委員会において全会一致で法律が可決されたのは、まさに公明党の力です。



―今後の党の対応について。


遠山
個人の尊厳を否定し地域社会を分断する不当な差別的言動が存在しない社会をつくるのが公明党の責務です。インターネットなどによる被害を受けた人の痛みにも寄り添いながら、この法律を契機として自治体や国民全体に広く呼び掛け、人種差別のない社会の実現に向けてさらに頑張ります。

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