eコラム「北斗七星」
- 2016.05.27
- 情勢/社会
公明新聞:2016年5月27日(金)付
わが国最初の蒸気船は幕末、オランダから徳川幕府に贈られた。その船は、長崎海軍伝習所に配置され、「観光丸」と名付けられた。船名は、中国の古典、易経の「観国之光、利用賓于王(くにのひかりをみるは、もっておうにひんたるによろし)」に基づく。国威発揚や「他国の光を観る」との意味もあるが、ここから「観光」の言葉が生まれた▼「観光丸」を、文明開化の先駆けとすれば、今の日本にとって「観光」は最大の成長産業といえよう。事実、2015年の訪日外国人観光客は、前年比47%増の1974万人を数え、消費額も3.4兆円で、ともに過去最高を記録している▼訪日外国人が急増した背景には、公明党出身の太田昭宏氏ら歴代国交相が強力に推進してきた、東南アジア諸国から訪れる観光客へのビザ発給条件の緩和や、海外でのPR活動がある。党としても、公衆無線LAN整備の促進を政府に申し入れるなど観光立国に全力を挙げている▼東日本大震災以降、「観光」は被災地の経済と復興に貢献することから、「作業」や情報をSNSなどで発信する「伝達」と合わせ「トリプル(三つの)ボランティア」としても位置付けられている▼東北、そして熊本地震の被災地は、息の長い支援が必要となる。旅や買い物、できることから支えていきたい。(川)