e改正障害者総合支援法 公明が見直しをリード
- 2016.05.31
- 情勢/解説
公明新聞:2016年5月31日(火)付
65歳以上の障がい者 介護負担を軽減
25日の参院本会議で成立した改正障害者総合支援法には、障がい者が自ら望む地域で暮らせるようにするため、きめ細かな支援策が並ぶ。改正法には、関係団体の切実な訴えを基にした公明党の要望が随所に反映された。
地域で暮らせる多彩な支援策
社会保障制度の原則である"保険優先"の考えを踏まえ、障がい福祉サービスを利用する障がい者についても、65歳以上になると自己負担が発生する介護保険サービスが優先適用されている。改正法では、利用者の負担を軽減する観点から、長期にわたり障がい福祉サービスを利用していた一定の高齢者を「高額障害福祉サービス費」の支給対象者とし、負担を軽減できる仕組みを設けた。
近年、障がい者の一人暮らしやグループホームが増えている現状を受け、改正法では障がい者が安心して地域で生活を送れるようにするため、新たに自立生活援助支援を創設。障がい者施設などを出て一人暮らしを希望する人に対し、障がい者への理解や生活力を補うため、自立生活援助事業所が定期的な巡回訪問を実施する。利用者から要請があれば訪問や電話など臨時対応も行う。
また新たに就労定着支援を設ける。一般企業に雇用された障がい者のストレスや金銭管理など、就労支援定着事業所が生活上の課題を把握し、企業や関係機関との連絡調整を行う。
このほか重度訪問介護については、現行の訪問先が居宅のみであったが、改正により、入院中の医療機関でもサービスが利用可能となり、利用者の状態を熟知しているヘルパーを引き続き利用できるようになる。
一方、障がい児への支援では、重度の障がいで外出が困難な場合、居宅訪問して発達支援を提供するサービスを新設。医療的ケアを要する障がい児に関しては、適切な支援が受けられるように自治体において、保健・医療・福祉などの連携をめざす。
また、保育所などの訪問支援も拡大し、新たに乳児院と児童養護施設が対象となる。児童発達支援センターなどのスタッフが施設を訪問し、障がい児に対する支援に加え、訪問先のスタッフに対し、障がい児の特性に応じた支援内容や助言を行う。
市町村が購入費を支給する補装具に関しては、改正法により、貸与も支給対象となった。障がい児の成長に伴い短期間で取り替える必要がある場合など、利用者のニーズを反映したかたちとなる。
公明党は同法の改正に向け、より利用者ニーズを踏まえたものにするため、26の関係団体から丁寧に意見を聴取し、党内議論を進めてきた。昨年末、政府に提出した障がい者福祉施策の拡充を求める提言では、増加している医療的ケア児への支援や重度障がい者への入院中の福祉サービスの利用、親亡き後の安心できる地域生活の実現を訴えるなど、一貫して法改正をリードしてきた。