e国民目線で政治を前進
- 2016.06.06
- 情勢/解説
公明新聞:2016年6月5日(日)付
通常国会と公明党の闘い
井上幹事長に聞く
今月22日の参院選公示まであと17日(投票日は7月10日)となりました。今回は1日に閉幕した第190通常国会で、公明党が勝ち取った実績をはじめ、消費税率引き上げ再延期、参院選の争点について、井上義久幹事長に語ってもらいました。
今国会の成果
子育て・介護の支援を拡充
熊本地震 現場に寄り添い迅速に対応
―今国会における公明党の取り組みは。
井上義久幹事長 「1億総活躍社会」の実現などに向けた施策が盛り込まれた2015年度補正予算や16年度予算には、子育てや介護への支援が充実するなど、いずれも生活者の視点に立った公明党の主張が大きく反映されています。
在日韓国人らを差別するヘイトスピーチ(憎悪表現)の解消推進法など、議員立法の制定もリードしました。公明党が長年取り組んできた成年後見制度利用促進法や改正発達障害者支援法なども実現しています。
―会期中に熊本地震が発生しました。
井上 公明党は直ちに対策本部を党本部に設置し、ネットワークの力を生かして現場のニーズを吸い上げ、迅速に対応しました。今後の復旧・復興に備えた16年度補正予算をいち早く成立させ、被災者が無料法律相談を受けやすくする改正法や、義援金の差し押さえを禁止する法律も早期に仕上げました。
今回の熊本地震では、5年間にわたって被災者に寄り添い続け、数々の課題に対応してきた東日本大震災の経験を生かすことができました。
公明党の中に脈打つ経験を、今後もしっかりと引き継いでいきます。
消費税率引き上げ再延期
世界経済リスクに備える。デフレ脱却をより確実に
社会保障の充実 財源確保し推進
―安倍晋三首相が来年4月の消費税率引き上げを19年10月まで2年半延期すると表明しました。
井上 これまで、安倍首相は、リーマン・ショックや東日本大震災のような重大な事態が発生しない限りは、法律通り、消費税率を引き上げると言ってきました。しかし、先進7カ国首脳会議(伊勢志摩サミット)を機に、安倍首相が消費税率引き上げ再延期を与党に提案し、公明党としても、首相の判断を基本的に尊重することにしました。
―引き上げ延期の具体的な理由とは。
井上 首相も記者会見で述べましたが、延期の理由は大きく二つあります。一つは、世界経済の下方リスクを回避するため。もう一つは、自公政権の経済政策をさらに進め、デフレ(物価下落が続く状態)からの脱却・経済の好循環をより確実にするためです。
世界経済は、需要が低迷し、成長が減速してきています。サミットのG7(先進7カ国)首脳宣言にもうたわれましたが、G7各国が危機回避のため、あらゆる政策をとっていくことを共有しました。日本としても、財政出動、成長政策と構造改革など、政策手段を総動員していくことになります。
一方、日本においては、自公政権の下、経済政策を進め、この3年半で、有効求人倍率が24年ぶりの高水準となるなど雇用が増加し、所得も増え、着実に成果を上げています。しかし、その恩恵が地方や中小企業、家計にまで十分に行き届いていません。
そこで需要を腰折れさせかねない消費税率の引き上げを2年半延期する間、自公政権の経済政策をより一層加速させていきます。軽減税率については、引き上げ時の導入を首相も明言しており、これまでと考え方は全く変わっていません。
―消費税を財源とした社会保障制度の充実はどうなりますか。
井上 まず、社会保障制度を将来にわたって持続可能なものにしていくため、自民、公明、民主の3党で合意した「社会保障と税の一体改革」の基本的な考えに変わりはありません。
社会保障の充実が、国民の間に将来への安心感を生み、個人消費を伸ばすことにもつながりますので、公明党は、政策の優先順位として、特に子育てや介護、無・低年金者対策など、消費税率引き上げ時に予定していた社会保障充実のための政策の早期実現を求めていきます。
―財源はどう確保しますか。
井上 首相は、記者会見で、民進党のように安易に赤字国債に頼ることはしないと述べ、財政健全化目標(20年度の基礎的財政収支=プライマリーバランス=の黒字化)も堅持すると明言しています。自公政権の経済政策で、税収増は国・地方合わせて21兆円に上っており、その活用を含め財政全体の中で財源を確保し、政策を実現してまいります。
参院選勝利に向けて
与党で改選過半数獲得。公明、13議席以上めざす
―参院選の争点について。
井上 安倍首相が示した消費税率引き上げ再延期の「新しい判断」について国民の審判を仰ぎ、政府・与党の経済政策、つまりアベノミクスを加速させるのか、後戻りするかの是非を問うのが争点になります。
自公政権が進めてきた政策を継続して、景気の回復を確かなものにし、安心の社会保障を築くには、政治の安定が欠かせません。
政治の安定の一つは数の安定で、自公で改選議席(121)の過半数(61議席 現在は自民50、公明9)を獲得すること。そのために自公で選挙協力し、過半数を確保していきたい。
もう一つは質の安定。これは幅広い民意を政権が受け止め、政策に反映させていくことです。この点は全国に議員のネットワークを持ち、生活者の身近にいて小さな声を聴く力のある公明党だからこそ、果たせる役割です。
―今年は、公明系無所属議員が国政に初進出して60年の節目です。
井上 公明党にとって極めて意義深い選挙といえます。国民目線の公明党が政権の中で存在感を発揮してこそ政治の安定が実現できます。そのためにも、過去最高の7選挙区の完全勝利と、比例区6議席以上、計13議席以上の獲得に向け、全力で戦い抜きます。