e日本版ネウボラ 安心の子育て環境へ整備急げ
- 2016.06.10
- 生活/生活情報
公明新聞:2016年6月10日(金)付
日々、子育てに奮闘しているお母さんの中には、核家族化や地域とのつながりが薄いことで、悩みを相談する相手に恵まれず、児童虐待など深刻な事態を引き起こすケースもある。お母さんたちが安心して子育てできる環境の整備が急がれている。
その一つとして、妊娠から出産、子育てまで、切れ目のない支援を行う「子育て世代包括支援センター(日本版ネウボラ)」の設置に、各自治体が動き出しており、2015年度末までに138市区町村で設置された。
ネウボラとは、北欧のフィンランド発祥の子育て支援拠点のことで「アドバイスする場所」との意味を持つ。専属の保健師らが相談に応じ、個別の事情に沿って対応するほか、医療機関などとの調整役も担う。
妊婦や子育て中の親にとっては、必要な全ての支援をワンストップ(1カ所)で受けられるだけでなく、保健師らと子育てや生活上の相談もでき、心の支えになってもらえる。
先の通常国会で、ネウボラの設置を市区町村の努力義務とする改正児童福祉法が成立した。ネウボラを初めて法的に位置付けた意義は大きく、設置に向けて自治体の取り組みの加速化が期待される。
公明党は、結党50年の際に示したビジョン(14年)をはじめ、国会質問や厚生労働相への要望などを通じ、他党に先駆けてネウボラの設置・普及を訴えてきた。今年3月の参院予算委員会では、設置の法定化を提案しており、今回の法改正を高く評価したい。
今年度予算には、ネウボラを251市区町村に拡大する費用が計上されている。政府は20年度末までの全国展開を掲げており、今後は、予算措置以外の支援体制の強化も不可欠だ。
例えば、全国展開の際には、保健師らの人材が不足することが予想される。民間やNPO法人などとも連携を強化し、子育てを地域ぐるみで支える体制を整備すべきだ。サービスの質を保つため保健師らの人材育成も進めたい。
ネウボラの存在を知らない妊婦や母親も少なくない。政府や自治体は、利用するメリットなどの周知に努めてほしい。