e消費税率引き上げ再延期
- 2016.06.13
- 情勢/解説
公明新聞:2016年6月11日(土)付
井上義久幹事長に聞く
公明党は9日に発表した参院選重点政策の中に、来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを2年半再延期し、2019年10月から実施すると盛り込みました。消費税率引き上げ再延期に関する公明党の考えについて、井上義久幹事長に聞きました。
なぜ再延期するのか?
世界経済のリスクを回避。デフレから脱却し、経済の好循環を確実にする
―なぜ消費税率引き上げを再延期するのですか。
井上義久幹事長 安倍晋三首相が先進7カ国首脳会議(伊勢志摩サミット)を機に、消費税率引き上げ再延期を与党に提案し、公明党としても、首相の判断を尊重することにしました。
延期の理由は大きく二つあります。一つは、世界経済が減速するリスク(危険性)を回避するため。もう一つは、自公政権の経済政策をさらに進め、デフレ(物価下落が続く状態)から脱却し、経済の好循環をより確実にするためです。
世界経済は、中国など新興諸国の不振で需要が低迷し、成長が減速してきています。
サミットのG7(先進7カ国)首脳宣言にもうたわれましたが、G7各国は危機回避のため、あらゆる政策をとっていくという認識を共有しました。日本としても、財政出動をはじめ成長政策と構造改革など、政策手段を総動員していくことになります。消費税率の引き上げ再延期は、その一環として判断されたものです。
アベノミクスは失敗?
着実に成果。その恩恵を地方や中小企業、家計に届ける政策を加速させる
―野党は再延期を「アベノミクスの失敗」などと決めつけていますが。
井上 全く違います。この3年半、自公政権が進めてきた経済政策であるアベノミクスは、着実に成果を上げています。3年連続で賃金のベースアップが実現し、有効求人倍率は24年ぶりの高水準となるなど雇用情勢は大きく改善しました。株価も民主党政権時代と比べて約2倍の水準に上昇しています。
自公政権は、民主党政権で閉塞状況に陥った日本経済を着実に再生させてきたのです。
しかし、その恩恵が地方や中小企業、家計にまで十分に行き届いておらず、アベノミクスは道半ばです。経済全体の底上げに力を注ぎ、さらに力強い景気回復の実感をもたらす必要があります。
こうした観点から内需を腰折れさせかねない消費税率の引き上げを2年半延期し、その間に、自公政権の経済対策を、より一層加速させていくことにしたのです。
もちろん、軽減税率は、消費税率引き上げと同時導入を首相も明言しており、円滑な実施に向け万全な準備をしていきます。
社会保障の充実は?
財源は赤字国債に頼らず、税収増の活用などで確保。優先順位付けて実現
―社会保障の充実はどうなりますか。
井上 自民、公明、民主(今の民進)の3党で合意した「社会保障と税の一体改革」の基本的な考えに変わりはありません。社会保障の充実は、国民の間に将来への安心感を生み、結果的に個人消費を伸ばすことにもつながります。
公明党は、特に子育てや介護、無年金・低年金者対策など、消費税率引き上げ時に予定していた政策の早期実現を求めていきます。
社会保障の財源に関して公明党は、民進党のように安易に赤字国債に頼ることはしません。20年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス=政策経費を借金に頼らずに賄えるかを示す指標)を黒字化する財政健全化目標も堅持すべきです。
一方、自公政権の経済政策の成果として税収が年々増え続けています。今年度の税収は、民主党政権時(12年度)と比べ、国と地方を合わせて21兆円増えています。
その活用を含め、消費税だけでなく財政全体の中で財源を確保し、優先順位を付けながら政策を実現していきます。