eコラム「北斗七星」

  • 2016.06.15
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年6月15日(水)付



西南戦争最大の激戦地となった田原坂には、退却した薩軍私学校の生徒隊が残した英単語帳が散乱していたという。作家の司馬遼太郎は、戦闘行動中ですら失われない旺盛な向学心に幕末維新のエネルギーの源泉を見る◆アジア初のノーベル経済学賞受賞者、アマルティア・センは明治日本の教育政策を、「邑に不学の戸なく家に不学の人なからしめん事を期す」とした1872年の学制公布を挙げ、「教育の格差が縮まり、急速な経済成長をとげる日本の目覚ましい歴史が始まった」(『人間の安全保障』)と高く評価する◆その日本が、5月のG7伊勢志摩サミットで、シリア内戦で混迷する中東地域への教育支援を表明した。5年間で最大150人のシリア難民を留学生として受け入れる◆留学生の受け入れについては、公明党の難民政策プロジェクトチームが昨秋、ヨルダンのシリア難民キャンプなどを調査し、戦禍で親を亡くし、故郷を追われ、教育の機会を失いつつある難民の若者を、日本に招くよう提言していた◆紛争地域の最前線で平和外交を推進する公明党ならではの光る実績だ。難民の「学びたい」に応え、中東の将来を担う人材を育成する意味で大きな一歩である。社会の礎としての教育に情熱を傾けてきた日本らしい国際貢献のあり方といえよう。(中)

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