e建設従事者 一人親方らの安全守る
- 2016.06.15
- 情勢/社会
公明新聞:2016年6月15日(水)付
発注者に経費支払い促す
労災保険加入しやすく
自公が法案を作成
建設現場で働く人たちの安全を守るため、自民、公明の与党が取りまとめた「建設工事従事者の安全・健康の確保の推進に関する法案」の早期成立への期待が、関係者の間で高まっている。5月30日に都内で開かれた日本建設職人社会振興連盟(國松孝次会長)の集会では、法案成立について「一刻も早く実現を」との決議が行われた。
集会では冒頭、全員で黙とうを行った。建設現場での事故で命を落とした従事者を悼むためだ。建設現場では常に重大事故のリスクと直面し、「毎日1人以上の尊い命がなくなっている」(決議文)という。しかし、安全確保策は十分とは言えない。
例えば、建設現場での作業を請け負う企業などのうち、「一人親方」は労働安全衛生法の対象外で、特別任意加入をしない限り労災保険の補償が受けられない。
そこで、自公両党の日本建設職人社会振興議員連盟(会長=二階俊博自民党総務会長、同代理=井上義久公明党幹事長)は、建設工事での安全衛生経費の確保や一人親方の保護などに向け、"建設職人基本法"の意義を込めて法案を取りまとめた。4月26日の与党政策責任者会議で了承されている。
内容は、建設工事従事者の安全・健康の確保に向けた基本計画を政府が閣議決定するとし、都道府県にも同様の計画策定を要請。取り組むべき施策として、▽建設工事の請負契約上の経費(労災保険料を含む)を適切に支払うことを発注側に促す▽下請け関係を適正化し、責任体制を明確化する▽建設現場での労災保険の加入状況を把握することを促進―などを挙げた。
法案作成作業に携わった公明党の伊藤渉衆院議員は、法整備をめざす背景として「最近は建設工事の発注単価が改善しつつあるが、民間発注工事を中心に、まだ適正な工事単価とは言えず、安全確保の経費を切り詰めざるを得ない状況が続いている。労災保険に特別任意加入するお金が用意できない一人親方も少なくない」と強調。「法案が成立すれば大きな前進だ。野党の賛同も得て、早期に成立させたい」と語っている。