e相次ぐテロ事件 急がれる国際社会の連携強化
- 2016.07.06
- 情勢/国際
公明新聞:2016年7月6日(水)付
残虐非道なテロを断じて許すわけにはいかない。政府は日本国民を守るため、テロの根絶へ毅然と闘ってほしい。
バングラデシュの首都ダッカで1日、武装グループが飲食店を襲撃し、日本人男女7人を含む20人が殺害された。日本人犠牲者は、国際協力機構(JICA)のプロジェクトの一員として同国の開発支援に貢献してきた方々であり、卑劣なテロで命を奪われたことは残念でならない。犠牲者とそのご家族に対しご冥福を祈るとともに、深く哀悼の意を示したい。
日本人犠牲者は5日早朝、政府専用機で羽田空港に到着し、無言の帰国を果たした。傷を負って帰国した男性1人も東京都内の病院に運ばれ、現在も治療を受けている。政府は引き続き、被害者と家族の支援に全力で当たってもらいたい。
ダッカ事件を受け、国連安全保障理事会は、「あらゆるテロは、国際社会の平和と安定への最大の脅威だ」との声明を発表。容疑者や首謀者、資金提供者を含む支援者に裁きを受けさせるため、加盟国に協力を求めた。犠牲者を出したイタリアや米国、インドはじめ国際社会から非難の声が上がっている。
事件の実行犯は、バングラデシュで育ち、高等教育を受けた者とされている。自国生まれの過激派の若者が起こす「国産テロ」が、アジアにまで広がっている実態が今回の事件で浮き彫りになった。テロを根絶するため、国際社会が連携して対策を強化していく必要がある。
テロ対策については、5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、行動計画をまとめたばかりだ。日本政府は、関係国とテロに関する情報を共有し、協力体制をさらに強化していかなければならない。
民間人を狙ったテロは防ぐのは難しく、海外の日本企業も対策に苦慮している。テロの標的になりやすい場所を注意喚起するなど、巻き添えにならないような対策を徹底する必要がある。
テロを根絶するためには、過激主義の温床となりやすい開発途上国への支援も重要である。日本は、開発援助などの分野における国際貢献を一層強化していくべきだ。