e「女性に配慮」反映に課題
- 2016.07.14
- 情勢/社会
公明新聞:2016年7月14日(木)付
避難所運営 東日本大震災の教訓
熊本地震では過去の震災の教訓が生かされ、早い段階から女性に配慮した避難所運営がなされた所があった。しかし被災地すべてで万全な対応が取られたわけではなく、女性への配慮不足の側面も見られた。
本震翌日の4月17日、熊本県助産師会の坂梨京子会長らは、震度7の揺れに2度見舞われた益城町に直ちに駆け付けた。避難所になったホテルは被災者であふれたが、かろうじて空いていた部屋を女性専用スペースにしてもらった。
5年前の東日本大震災では、生理用品の不足、授乳や着替えの場所がないなど問題が多発。これを踏まえ、内閣府は「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」をまとめ、授乳室設置、避難所運営への男女の参画などを明記した。
しかし、坂梨会長は「女性に配慮した施設運営をお願いすると、理解ある人はすぐ対応してくれたが、『何で?』『男女平等でしょ』という避難所もあった」と振り返る。1週間たって落ち着いてくると、必要性を分かってもらえたという。
「減災と男女共同参画研修推進センター」共同代表の浅野幸子さんは、「授乳室などが早くから注目され、女性用品のことも普通に語られるようになった。著しい進歩だ」と一定程度評価。それでも避難所の中には、プライバシーが確保できないほど雑然としていたり、2週間後にようやく女性用更衣室が設置されたりする所もあった。
浅野さんは「女性への配慮を、現場に即反映させるのは簡単ではない」とし、防災への取り組みに常日頃、女性が参画する必要性を指摘している。