e参院選結果 識者に聞く

  • 2016.07.15
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年7月15日(金)付



安定政権、政策に支持
「野党に魅力なし」も勝因 社会明るくする政策を
政策研究大学院大学 竹中治堅教授



――参院選の結果をどう見るか。


竹中 自公連立政権の経済、外交・安保などの政策が支持された。一方、民進党など野党側は、政府・与党の政策に「反対」ばかりで説得力ある対案がない。それでは有権者が支持しにくい。選挙後の朝日新聞世論調査では、与党勝利の理由を「野党に魅力がなかったから」とする回答が71%に及んだ。

与党側も、勝利に酔う余裕などない。最優先課題の経済が悪くはないが飛び抜けて良くもない状況の中で、他に受け皿がないし、安定政権で大きなミスもないから支持を集めたという側面が大きい。社会の明るさを増すような魅力的な政策を打ち出していかないと、支持を引き留めることはできない。

――公明党は選挙区7、比例区7の計14議席を獲得したが。


竹中 今回、兵庫や愛知などの複数区で定数が増え、そこで確実に議席を上積みした。比例の得票数と獲得議席は前回とほぼ同じ。勝利したとはいえ、冷静な受け止めも必要だ。

しかも、連立相手の自民党は、追加公認なども含めて単独過半数を確保することとなった。これは、政府・与党内で公明党の主張を反映させることが難しくなる可能性を示唆している。公明党が持ち味を十分に発揮するには、今回、増えた議席数を最大限に生かして、今まで以上に主張や政策を磨き、発言力を高めることが大事だ。

――公明党への提案・要望は。


竹中 従来の枠組みや経緯にとらわれずに、思い切った政策を提案し、与野党の議論に一石を投じてほしい。

例えば、成長を促す観点では、都市再生に向けた大胆な規制緩和、社会保障関連では、格差対策として給付つき税額控除(所得税などの減税の恩恵が及ばない低所得者には給付を行う)の導入が挙げられる。また消費増税による負担との公平性を考えて、金融所得への課税強化なども考えられる。

――今回、民進党と共産党などが共闘したが。


竹中 野党側が11の1人区で勝った背景には、共産党も含めて候補を一本化したことが大きい。今後は、共産党が日米安保条約を肯定し、社会主義・共産主義をめざす綱領を、もっと資本主義を前提としたものへと変えるならば、民共連合の可能性が高まるだろう。

民進党は今回、共産党の綱領の問題点を重視しなかった。今後さらに関係を深めようとするならば、誰もが資本主義社会の恩恵の下に生きている中で、「社会主義・共産主義の社会への前進」「生産手段の社会化」などをうたう共産党綱領が描く社会像があるべき姿だと本当に信じているのかと問いただす必要がある。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ