e核兵器のない世界 オバマ政権の新政策に期待する

  • 2016.07.15
  • 情勢/国際

公明新聞:2016年7月15日(金)付



公明党の働き掛けもあり実現したオバマ米大統領の歴史的な広島訪問を受け、オバマ政権は早速、「核兵器のない世界」の実現に向けて動き出そうとしているのではないか。

米国の有力紙ワシントンポスト(電子版)は10日、オバマ政権が核軍縮をさらに推し進めるための具体案の検討に入ったと報じた。同紙によると、米連邦議会は上下両院とも核軍縮に消極的な野党の共和党が多数派であるため、議会の承認を必要としない大統領権限で実施できる措置を考えているという。

オバマ大統領は来年1月退任するが、任期中に「核兵器のない世界」への道筋をつける核軍縮政策を示してほしい。

オバマ政権が検討中とされる案の一つは、米国が他国などから核攻撃を受けない限り、核兵器を使用しない「核兵器の先制不使用」を公式に宣言するかどうかである。

米国では、場合によっては攻撃を受ける前に核兵器を先に使用するための核兵器の使用をめぐる判断の「柔軟性」が重視されている。「先制不使用」を宣言すれば米国の核政策の大転換となる。

もう一つは、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効の実現である。CTBTは今年9月に国連総会で採択されてから20年の節目を迎えるが、まだ未発効である。核実験は、新たな核兵器製造のためだけでなく、核兵器保有国が備蓄している核兵器の品質維持などの目的でも行われるので、その禁止は、核兵器の量の増大と質的向上を食い止めることにつながる。

しかし、CTBTの批准に米議会が強く反発している。そこでオバマ政権では、国連加盟国を拘束する安保理決議の採択を推進し、核実験を禁止する案が検討されているようだ。

さらに10年間で3500億ドル(約35兆6600億円)を要する米国の核兵器の改修・更新計画の縮小も議論されているという。

オバマ政権が検討しているこれらの案が実施されるかどうかは、米国の「核の傘」で守られている日本などの米国の同盟国の後押しが不可欠であることも忘れてはならない。核兵器の役割低減をどう実現させるのか、米国と真剣に話し合うことが重要だ。

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