e全国に広がるGI(地理的表示)制度
- 2016.07.19
- 情勢/解説
公明新聞:2016年7月18日(月)付
販路拡大、産地振興に期待
公明が推進 国が地域ブランド認定
地元農産品の地域ブランド化を推進するため、「夕張メロン」や「神戸ビーフ」などと国が"お墨付き"を与える「地理的表示(GI)保護制度」が全国各地に浸透しつつある。12日には、長野県の「市田柿」と福井県の「吉川ナス」が追加登録された。これまで公明党は、GIの普及を政府に積極的に推進。先の参院選でも、GIを活用した農産物の高付加価値化の推進を重点政策に盛り込んでいる。
GIとは、〇〇地域で作られた「〇〇リンゴ」などと、商品に産地や伝統製法と結び付いた名称を付けて、販売すること。GI保護制度は、こうした産品に対して、国が社会的評価や品質の名称などを知的財産として保護することが目的で、世界貿易機関(WTO)も協定で認めている。昨年12月の登録開始以来、今回で14品目まで登録数が増えた【表参照】。
GI保護制度は、まず国が産地の品質管理体制をチェック。その上で産地は、基準を満たす農産品に専用のGIマークを付けて販売でき、名称の不正利用に関して国が厳しく取り締まる。そのメリットは大きく、地域ブランドとしての差別化を進め、商品価値に反映できるだけでなく、産地の振興につながる。また、消費者にとっては高品質な商品を選ぶ目安になる。
GIの仕組みは諸外国でも導入され、アジアや欧州連合(EU)など100カ国以上で、さまざまな効果を上げている。例えば、フランスのシャンパーニュ地方産の「シャンパン」。その産地以外の生産者は名称を使用できなくなるだけでなく、地域が観光地として世界的に知名度を上げている。
市田柿、吉川ナスが加わり計14品目
今回、GIの登録産品に加わった市田柿は、小ぶりな干し柿で昼夜の寒暖差や伝統的な加工法によって糖度が高く、柔らかな食感を持つのが特長。登録申請したJAみなみ信州は「一層の地域ブランドの確立と、国内外の販路拡大が期待される。また観光のPRとしても利用していきたい」と意欲を示している。