e女性の活躍推進 優良企業にえるぼしマーク

  • 2016.07.22
  • 情勢/解説
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公明新聞:2016年7月22日(金)付



採用、継続就業、働き方などが基準
取り組みを「見える化」



女性が働きやすい職場づくりに積極的に取り組む企業を、国が認定して支援する制度が広がりつつある。認定を受けた企業は、国の認定マーク(愛称「えるぼし」)を取得できる。公明党が推進し、昨年8月に成立した女性活躍推進法(今年4月に全面施行)に基づくもの。企業の取り組みや現状を「見える化」する一環だ。「えるぼし」認定の概要と実際に認定を受けた優良企業を紹介する。


認定企業 PR活動や受注拡大に活用

女性活躍推進法では、従業員301人以上の企業に対し、女性の育成・登用に向けた行動計画の策定・公表を義務付けた(300人以下は努力義務)。また、労働者に占める女性の割合や、男女別の育児休業取得率など、女性の活躍に関する情報14項目のうち、1項目以上を公表するよう求めている。義務付けになった301人以上の大企業における届け出率は6月末現在、96%に上っている。

公表された情報のうち、「採用」について、男女別の競争倍率が同程度になっているなど、女性の活躍推進に関して一定の基準を満たした企業が、労働局に申請すれば、厚生労働相から「えるぼし」の認定を受けられる。認定の基準は、「採用」のほか、「継続就業」「労働時間などの働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の計5項目。認定は、基準を満たした項目数を基に、マーク上部の星の数1~3個の3段階で評価する。認定を受けた企業は、自社の商品や名刺、求人票などへ「えるぼし」の使用が可能になり、女性の活躍を推進している企業であることをPRできる。

厚労省の雇用均等政策課によると、認定を受けた企業は、26都道府県105社(6月末現在)に上る。

女性の活躍がイメージしにくい建設業界から「えるぼし」を取得した企業がある。大手ゼネコンの清水建設株式会社(東京都中央区)だ。2008年から女性の総合職の採用を本格的に始めた。入社2年目の女性社員を対象にフォローアップ研修を実施し、勤務内容の総括や将来へのキャリアアップの道を意見交換する場を設け、離職防止に努めている。

また、部下の私生活とキャリアを応援する上司「イクボス」の考え方を積極的に導入。社内でセミナーを定期的に開催し、上司や同僚の理解を深めている。

15年2月からは、社員からの意見を踏まえ、育児のための勤務時間短縮を10分単位で可能にしたり、子どもの看護休暇の有給化や、半日単位での取得をできるようにした。こうした取り組みの結果、16年度は新入社員に占める女性の比率が24%に達した。

同社人事部ダイバーシティ推進室の西岡真帆室長は「現場監督が女性だと、建設現場周辺とのコミュニケーションが円滑になり、クレームが減るなど、良い効果を生んでいる」と強調。「えるぼし」に認定された企業が、公共調達に関する事業の入札で優遇を受けられることから、受注機会の拡大も期待されるとした上で「新卒採用時に、認定企業であることをPRしていきたい」と意気込む。

従業員300人以下の企業でも「えるぼし」を取得した企業がある。

米菓メーカーの三州製菓株式会社(埼玉県春日部市)は、従業員の8割が女性。子育てや介護を担う社員が安心して働き続けられるよう、斉之平伸一社長がリーダーシップを発揮し、ノー残業デーや短時間正社員制度、育児短時間勤務などを導入。女性が働きやすい職場づくりに積極的に取り組んできたことが「えるぼし」認定につながった。同社総務部の板垣千恵子マネージャーは「えるぼし」認定を受け「メディアで取り上げられる機会が増え、企業としてのPR強化につながっている」と効果を語る。

同社の取り組みで注目されているのが、各従業員が担当以外の複数の業務を身に付ける「一人三役」制度。1999年から制度化された。習得した業務は一覧表にまとめ、社内に掲示されるため、本来の担当者が不在の場合でも、すぐに代行可能な他の従業員が分かるようになっている。

新卒で入社した20代の女性正社員は「結婚・出産しても正社員として働き続けられる環境に共感した」と語る。斉之平社長は「大事なのは、職場内に助け合い、休みやすい環境づくりの風土をつくること」と強調する。

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