e"未来への投資" に重点
- 2016.07.25
- 情勢/社会
公明新聞:2016年7月23日(土)付
公明、経済対策で政府に提言
奨学金拡充や無年金対策
消費喚起へ雇用保険料引き下げ
公明党の石田祝稔政務調査会長は22日、首相官邸に菅義偉官房長官を訪ね、「希望がゆきわたり、未来への成長を促す経済対策を」と題する提言を提出し、政府が近く取りまとめる経済対策に反映させるよう要請した。この中では、雇用保険料(本人負担分)の時限的な引き下げや奨学金の拡充、働き方改革、無年金者対策、生活密着型の公共投資などの具体策を提案。財源に関しては「赤字国債は発行すべきでない」と強調した。菅官房長官は「与党が参院選で訴えた施策が多い。しっかりと受け止め、対応したい」と応じた。
提言の主な項目
◎雇用保険料(本人負担分)の時限的引き下げ
◎プレミアム付き商品券・旅行券発行のための交付金事業創設
◎同一労働同一賃金の実現など働き方改革
◎保育や介護の受け皿拡大
◎年金受給資格期間を25年から10年に
◎給付型奨学金創設。「無利子」は希望者全員に
◎観光振興に向けた公衆無線LANなど整備
◎水道管更新や交通バリアフリーなど生活密着型公共投資を加速
◎農産物の輸出拡大など「TPP関連政策大綱」の着実な実施
◎中小・小規模事業者の資金繰りや賃上げ支援
◎東日本大震災、熊本地震からの復興加速。防災・減災対策強化
◎簡素な給付措置の適切な実施
提言では、五つの基本的な考え方として、(1)アベノミクスの成果を地方、中小企業、家計へと広げ「成長と分配の好循環」を確かなものにする(2)1億総活躍社会の実現に向けた"未来への投資"に重点を置く。社会保障の充実は、財源を確保しつつ可能な限り実現をめざすべき(3)低金利を生かし、インフラ整備を計画性を持って前倒しで進める(4)世界経済・金融リスクへの備えに万全を期す(5)熊本地震、東日本大震災からの復興と防災・減災対策を確実に進める―を示した。2020年度の財政健全化目標は「堅持する」とした。
具体策では、消費喚起に向けたプレミアム(割増)付き商品券・旅行券を自治体が発行できるようにする交付金事業の創設を提案。雇用保険特別会計の積立金が、雇用情勢の好転で過去最高水準まで積み上がっていることから、雇用保険料(本人負担分)の時限的引き下げを行うとした。
総活躍社会のためには、同一労働同一賃金の実現などの働き方改革のほか、奨学金拡充を強調。返済不要の「給付型」創設と、「無利子」の希望者全員への貸与をめざすとした。さらに、保育や介護の受け皿拡大を要請。年金の受給資格期間を25年から10年に短縮する無年金者対策は、「17年度のできるだけ早期に実施できるよう必要な体制整備を行う」と明記した。
インフラ整備では、リニア中央新幹線計画の前倒しや整備新幹線の建設加速のほか、地域の業者が主に担う生活密着型の公共投資として、水道管更新や交通バリアフリーなどの加速を打ち出した。第4次産業革命に向けた産学官連携の研究拠点整備も求めた。
消費税率10%への引き上げが19年10月に延期されたことに関しては、「軽減税率」制度の円滑な実施に向けた取り組みのほか、同制度導入までの施策として、低所得者などに対する「簡素な給付措置」を適切に実施するとした。