e慰安婦問題 日韓合意の誠実な履行が重要

  • 2016.07.27
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年7月27日(水)付



慰安婦問題に関する昨年12月の日韓合意に基づき、韓国政府は28日、元慰安婦を支援する財団を設立する。これを受け、日本政府は来月にも同財団に10億円を拠出する方針を固めたと報道されている。

日韓両政府は、同財団を通じて「全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業」を進め、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」へと導くことで合意している。日韓両国は、この合意を実行に移すための具体的な第一歩を踏み出すことになる。

慰安婦問題をめぐる合意を契機に日韓関係の冷え込みが和らいだことで、日韓双方の国民が相手国に抱く印象も改善に向かっていることにも注目したい。

日本と韓国の民間団体が先月中旬から今月上旬にかけて行った共同世論調査によると、相手国の印象について「良い」または「どちらかといえば良い」と答えた人の割合は、日本側で昨年より5.3ポイント高い29.1%、韓国側で昨年より5.6ポイント高い21.3%であった。

韓国側の調査を行った東アジア研究院の李淑鍾院長は「(韓国国民は)これ以上、慰安婦問題が関係改善の障害になってはいけないと判断したのではないか」と分析しているという。

慰安婦問題をめぐる日韓両国の国民の感情的な対立を解消していくことは容易ではないが、両国が合意を着実に履行し、和解に向けた取り組みを軌道に乗せていくことが重要だ。

ただ、韓国の国内では、日韓合意が元慰安婦の同意を得たものではないとして、元慰安婦の支援団体などが今も激しく反発し、合意の受け入れを拒否するなど、頑なな姿勢を崩していない。

韓国の首都ソウルの日本大使館前に置かれた慰安婦少女像の移転を日本政府が求めている問題が懸案として残されているが、これについては韓国政府が、反発する国民を粘り強く説得しながら、移転を実現すべきであろう。

慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」へと導くには、いまが正念場である。日韓政府が協力し、元慰安婦一人一人の思いをくみ取りながら事業を進めてほしい。

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