e介護休業制度の拡充
- 2016.08.01
- 情勢/解説
公明新聞:2016年8月1日(月)付
今月から給付率をアップ。来年1月以降は、取得要件の緩和や労働時間の短縮などを進め、仕事との両立支援を強化。
Q 介護と仕事の両立支援へ制度が拡充されると聞いた。
A その通りだ。介護離職者は年間約10万人に上るが、自公政権が掲げる「介護離職ゼロ」の実現に向け、今年3月に雇用保険法と育児・介護休業法が改正された。それに伴って、きょう8月1日から、介護休業中の収入を確保する「介護休業給付金」の給付率が、賃金の40%から67%に引き上げられる(1日以降から取得した人が対象)。
また、来年1月1日からは介護休業が取りやすくなる。
介護休業は、介護が必要な家族1人につき最長93日間まで取得できるが、現在は分割して取得できない。「労働政策研究・研修機構」の調査では、介護のために連続して仕事を休んだ日数は「2週間以内」が最多となるなど、取得回数の見直しを求める声は多い。こうした要望を踏まえ、改正後は3回まで分割して取れるようになる。
Q 介護休業を取得するための判定基準については?
A 厚生労働省が先月、判定基準を緩和して要介護度が低くても一定の介助が必要であれば介護休業が取得できるとする有識者会議の報告書をまとめ、来年1月から新基準を実施する方針を示した。
現在は、家族の状態が「要介護2から3程度」が取得条件とされ、分かりにくかった。そこで新基準では「要介護2以上」と明確化。さらに、要介護1以下でも歩行や食事、着替えなど12項目のうち1項目で全面的に介助が必要、または2項目で一部介助が必要な場合なら、介護休業が取得できるよう対象を拡大する。
Q 介護中の働き方も変わるのか。
A 通院の付き添いや介護サービスを受けるための手続きなどで必要な介護休暇の取得も柔軟になる。現在は1日単位で年5日まで取得できるが、来年1月1日からは半日単位(最大10回)でも取得可能になる。
介護期間中の短時間勤務やフレックスタイムなど労働時間短縮の制度についても、介護休業とは別に3年間利用可能になるほか、残業など所定労働の免除も介護終了まで請求できる。
ただ、制度を浸透させて利用を促すには、社員や職場の理解が一層必要だ。一部企業では、独自に介護休業の延長を検討し始めた。こうした取り組みがさらに広がることを期待したいね。