eコラム「北斗七星」
- 2016.08.02
- 情勢/社会
公明新聞:2016年8月2日(火)付
ジェット機やリニア新幹線など、乗り物の高速化が一段と進む現代だが、それとは逆に、ゆったりした船の旅も人気が高いらしい。豪華客船に乗って世界をめぐる旅は、多忙な日常から離れて、最高のぜいたくともいえるだろう◆最近は、より身近な移動や観光の足としても、船による水上交通が注目されている。かつて東京は、日本橋などを中心に、各地からの物資を載せた多くの舟が行き交っていた。そんな「水のまち」の魅力を盛り上げようと、国土交通省や東京都が舟運の活性化をめざすプロジェクトを開始。昨年から、秋葉原など都心部や横浜と羽田空港を船で結ぶ社会実験も行っている◆レインボーブリッジの下をくぐり、離着陸するジェット機の大迫力を間近に感じ、壮大な工場群を見上げるなど、船だから味わえる魅力は多い。いつもの街並みも、陸上からとはまったく違って見えるものだ◆新幹線が開通した北海道でも、函館などを訪れた観光客に、室蘭や苫小牧方面まで足を延ばしてもらおうと、「森蘭航路」と呼ばれるルートで旅客船を実験的に運航。イルカやクジラに出会えるチャンスもあり、話題を呼んでいる。こうした動きは各地で広がりつつあるようだ◆この夏、親子で水面を渡る風を感じながら"プチクルージング"を楽しんではいかがだろうか。(千)