eコラム「北斗七星」

  • 2016.08.08
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年8月6日(土)付



日本人初のノーベル賞は彼だったかもしれない。その人は、世界で初めて、がんを人工的に発生させた山極勝三郎。長野県上田市出身の病理学者だ◆長男・長女を亡くし、自身も重い肺結核に。それでも、がん発生の原因を探り続けた。市川厚一という無二の助手を得て、がんをつくる実験が本格化。一人で実験を始めてから約8年後の1915年、ウサギの耳に、がんをつくることに成功した◆1926年のノーベル生理学・医学賞は、人工がんを山極より先に"つくった"デンマークのフィビゲルが受賞。最終段階まで候補だった山極は選ばれなかった。しかし後年、フィビゲルの実験は誤りだったと判明した。山極の人生を描いた映画『うさぎ追いし~山極勝三郎物語~』(遠藤憲一主演)が11月に公開される◆北斗子が、がんの宣告を受けたのは2011年3月。ステージ4の悪性リンパ腫だった。発見のきっかけは健康診断。これがなかったら手遅れだっただろう。治療終了から、まもなく5年。これまで無事だが、再発の可能性はある◆日本人の2人に1人はがんになる。命を守るには検診を受け、早期に発見することが何より大事だ。乳がん・子宮頸がん検診の無料クーポンなどを実現した公明党。がん対策充実のため、山極や市川のように粘り強く対策を進めていく。(直)

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