eがん治療に伴う 外見の悩みに寄り添う
- 2016.08.08
- 情勢/社会
公明新聞:2016年8月8日(月)付
サポートセンターを開設
患者の"心の痛み"をケア
神奈川県
神奈川県は4月、がん治療に伴う外見の悩みに対処するため、県立がんセンター(横浜市旭区)内に「アピアランスサポートセンター」を設置した。国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)には2013年に「アピアランス支援センター」が開設されているが、都道府県立病院への設置は「全国で初めて」(県の担当者)。推進してきた公明党の鈴木秀志、西村恭仁子の両県議は先ごろ、アピアランスサポートセンターを視察した。
相談員が対処法を助言
ウィッグの選び方やスキンケアなど
「アピアランス」とは、「外見」を意味する英語。がん患者の身体は、手術や抗がん剤、放射線などの治療により、傷痕、脱毛、皮膚や爪の変色など、さまざまな外見の変化が生じる。これにより、患者は身体的な痛み以上に精神的なショックを受けることがある。
2009年に国立がん研究センター中央病院が実施した抗がん剤治療に伴う身体症状の苦痛度調査では、女性患者の苦痛度トップ20の半数以上が、頭髪や眉毛の脱毛、顔全体の変色、手の爪の割れなど外見に現れる症状だった。
アピアランスサポートセンターでは、こうした外見上の変化による悩みについて相談員が話を聞き、対処法を助言したり、情報提供を行う。来院での受け付けは、平日の午前9時から午後5時まで。電話相談も同じ時間帯で行っている。
相談室は個室になっており、ウィッグ(かつら)の選び方やスキンケアの方法などを現物を使って説明できるよう、さまざまな価格帯のウィッグや化粧品が並んでいる。
県によると、4月から7月末までの相談件数は125件で、相談者の性別は男性13件、女性112件と女性が多い。相談内容で最も多いのは、脱毛やウィッグの使用に関するもの。次いで多いのが、皮膚のしみやくすみに関するものだという。
相談に当たっている担当者は「仕事の関係で、頭髪や肌の色などの変化を気にする男性もいる」と説明。県立がんセンターの伊藤清子副院長は「相談では外見のことだけでなく、治療の進め方や仕事に関する悩みも出てくる。相談員もある程度、ベテランでないと対応できないことがある」と話した。
公明が強力に推進
公明党は昨年2月の定例会代表質問で鈴木県議が、同年3月の厚生常任委員会で西村県議が、それぞれ同センターを県立がんセンター内に開設するよう要望し、県から前向きな答弁を引き出していた。さらに今年2月の定例会一般質問において西村県議は、サポートセンターへの手厚い人材配置を求めていた。
視察後、鈴木、西村の両県議は「外見のケアは、単に見える部分を整えるだけでなく、がんと闘う患者を精神面から支える重要な取り組み。センターのさらなる充実を後押ししていきたい」と語っていた。