e中小企業 経営力強化へ支援制度の周知を

  • 2016.08.12
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年8月12日(金)付



自公連立政権の経済政策によって雇用情勢は大幅に改善し税収も増えた。しかし、日本経済の実力を示す「潜在成長率」は日本銀行の推計で0.23%(2015年4~9月)にとどまる。数値は回復傾向にあるものの、1980年代後半のバブル景気時に記録した4%台と比較すると低い水準だといえる。

成長に陰りが見える中国経済や英国の欧州連合(EU)離脱など、日本経済を左右するような国際情勢の変化は今後も避けられないだろうが、その影響を最小限に抑え、景気回復を本格化させるには企業の経営力を高めることが必要だ。中でも、国内企業の99%を占める中小企業が鍵を握ることは言うまでもない。

全国中小企業取引振興協会の調査によると、中小企業の経営力を強化するには(1)計画的経営(2)情報技術(IT)の利活用(3)人材育成―の三つが重要だという。全国4320社から得たアンケート結果で、この三つに取り組む企業ほど利益を伸ばしていることが分かったからだ。

これらをまとめて支援する制度が先月から始まった。公明党の推進で成立した「中小企業等経営強化法」に基づくものだ。企業は人材育成やIT技術の導入など経営力を向上させるための計画を策定し、地方の経済産業局などに提出する。それが承認されれば、新たに購入する設備の固定資産税が3年間、2分の1に減免される。

企業の損益にかかわらず支払わなければならない固定資産税の負担を軽くして、設備投資による"攻めの経営"ができるよう支援する狙いがある。また、商工組合中央金庫による低利融資など、資金繰りでも支援を受けられる。

申請書類が2枚で済み郵送でも申し込めることや、商工会議所といった機関が申請をサポートしてくれる点も含め、政府は制度の周知と活用促進に努めるべきだ。

2日に発表された政府の経済対策には、公明党の訴えによって、下請け企業の取引改善に向けたガイドラインの充実などが盛り込まれた。元請け企業による過剰な値引き要求などから中小企業を守る取り組みだ。中小企業の努力が報われるような環境整備も併せて進めなければならない。

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