eウクライナ危機再燃 緊張緩和へ日本が働き掛けを

  • 2016.08.17
  • 情勢/国際

公明新聞:2016年8月17日(水)付



「第3次世界大戦の発火点」になるのではとも懸念されているウクライナ情勢に、再び暗雲が広がり始めている。

ロシア連邦保安局(FSB)は10日、ウクライナ軍の工作員がクリミア半島で、ロシアに対する大規模なテロ計画を企てていたと突然表明。それを阻止しようとしたFSBとロシア軍の要員計2人が犠牲になったと明らかにし、報復も示唆した。ロシア国防省がクリミア半島に最新鋭の地対空ミサイルを配備するなど、軍備増強を強めている。

ウクライナはFSBの発表は「でっち上げだ」と猛反発。ポロシェンコ大統領は、ウクライナ軍に臨戦態勢を取るよう命じるなど、両国の軍事的な緊張が一気に高まり、一触即発の状況にある。

まずは、両国に自制を強く求めたい。と同時に国際社会も緊張緩和への努力を急いでほしい。

クリミアはもともと、ウクライナの主権の下にある自治共和国だったが、人口の約6割がロシア系住民であったことから、2年前にロシアが一方的に自国に編入した。

同じくロシア系住民が多いウクライナ東部では、独立を求める親ロシア派の武装組織とウクライナ軍が衝突を繰り返していた。

ウクライナの親ロシア派武装組織をロシアが軍事支援していると見られており、米連邦下院議会は、米国がウクライナ軍に武器供与すべきとする決議案を可決。もし米国がこれを実施していれば、米ロの代理戦争勃発という事態になっていた。

だが、ウクライナ政府と親ロシア派武装組織が昨年2月、停戦合意に至ったため、この最悪のシナリオが現実のものとなることはなかった。それだけに、ロシアとウクライナは、対話による平和的解決を追求してほしい。

今回のロシアの強硬姿勢の背景には、ウクライナ政府が合意を実施しないことへの不満があるようだ。特に、高度な自治権を意味する「特別な地位」を親ロシア派支配地域に与えるための憲法改正を、ウクライナ政府が行おうとしないことに苛立っているという。

日本は両国と良好な関係を築いている。危機回避へ積極的な役割を果たすべきだ。

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