e内需を強く 消費喚起へ将来不安に手立てを

  • 2016.08.18
  • 情勢/経済

公明新聞:2016年8月18日(木)付



内閣府が15日に発表した2016年4~6月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は、前期比0.04%増(年率換算0.2%増)で小幅な伸び率にとどまった。景気回復の足取りは重い。

原因の一つは外需の低迷にある。円高の影響により輸出が振るわず1.5%の減、訪日外国人による消費も4.5%減で3年半ぶりのマイナスとなった。一方の内需は、個人消費が前期比0.2%増と2期連続のプラスになるなど、外需に比べて堅調に推移している。

今後、外需の回復に努めることはもちろんだが、景気回復を本格軌道に乗せるには、日本経済の足元を固める視点が不可欠であり、とりわけ内需を強くする取り組みが求められよう。

カギを握るのが個人消費だ。GDPの6割を占める個人消費をいかに喚起するかが焦点の一つであり、そのためには国民の所得を増やすことが欠かせない。

今回のGDPでは、働く人への賃金の総額を示す「雇用者報酬」は0.3%増とプラス傾向が続いており、これが個人消費を支えていると見られている。ベースアップが3年連続で実施され、最低賃金も今年度の引き上げ幅は過去最大となる予定だ。こうした賃上げの流れを維持することが望まれる。

自公政権は「政労使会議」を設置し、ベースアップなど賃上げ環境の整備に尽力してきた。17年度からは雇用保険料の従業員負担分を引き下げ、消費に回せる所得が少しでも増えるようにした。

ただ、所得が増えたとしても、将来への不安があれば国民は節約志向から抜け出せず、消費をさらに上向かせることは難しい。雇用や年金などに対する不安を軽減する取り組みも、併せて進めることが必要であろう。

このため先に閣議決定された政府の経済対策には、同一労働同一賃金の実現や長時間労働の是正といった「働き方改革」が明記されたほか、年金の受給資格に必要な保険料支払期間を25年から10年に短縮することなどが盛り込まれた。

これらの施策を進めながら、所得と消費の底上げに知恵を絞らなければならない。

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