e賃上げの波 非正規にも
- 2016.08.19
- 情勢/経済
公明新聞:2016年8月19日(金)付
公明、経済再生へ対策加速
同一労働同一賃金 非正規給与 正規の8割に
最低賃金引き上げ 全国平均1000円めざす
日本経済を持続的な成長軌道に乗せることができるか。経済再生を最優先に取り組む自公政権の手腕に期待が高まっている。
内閣府が15日に発表した2016年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、2四半期連続のプラス成長になったが、GDPの約6割を占める個人消費は力強さを欠く。要因として挙げられるのは、若年層での非正規社員比率の高さや将来への不安だ。
非正規社員が直面する課題は所得の低さ。非正規社員の所得が増えれば、個人消費が増え、企業収益の増加がさらなる賃上げをもたらす好循環につながる。
今年の春闘で非正規社員の賃上げ額(時給)が昨年より増えるなど賃上げの動きは、非正規社員にも見られるが、まだ道半ば。公明党は、参院選重点政策で掲げた政策実現に総力を挙げ、非正規社員の賃上げを進めていく。
そのための施策の一つは、非正規社員と正規社員の待遇差の是正へ、同じ仕事であれば、同じ賃金を得られる「同一労働同一賃金」の実現だ。
公明党は、正社員の6割程度にとどまる非正規社員の賃金について、正規社員の賃金を引き下げることなく、欧州並みの8割程度に引き上げることをめざす。
また、政府が18年度までに策定し、待遇差が合理的であるかどうかを事例で示すガイドライン(指針)の効果を高めていく。
二つ目は、最低賃金の引き上げ。16年度の最低賃金は、厚生労働省の審議会が、引き上げ幅の目安を全国平均で3%相当の24円とするよう答申した。引き上げ幅は、現在の仕組みになった02年度以降で最大。目安通りとなれば、最低賃金は822円となる。これを受け、各都道府県の審議会でも、最低賃金の引き上げを求める答申が相次いでいる。
公明党は、中小・小規模企業への影響に目配りしながら、最低賃金の引き上げをさらに進め、全国平均1000円をめざす。
将来不安を解消するには、社会保障制度の充実が欠かせない。公明党は、無年金対策として、閣議決定した経済対策で年金受給資格期間を25年から10年に短縮することなどを盛り込ませた。持続可能な社会保障制度へ、さらに制度を充実させていく。
補正予算の効果に期待
専修大学教授 野口旭氏
自公政権が再び発足し、賃上げは順調に進んできたが、今年に入って世界経済のショックなどを背景に、踊り場にある印象が強い。
ただ、与党はこれから経済対策の裏付けとなる今年度第2次補正予算の編成に取り組む。
また、消費税率10%への引き上げを2年半延期する安倍晋三首相の「新しい判断」は、先の参院選で国民から信任を得た。私は、消費税率引き上げは、急いでやる必要はないと考えていただけに、延期は妥当だ。
今後は、補正予算と消費税率引き上げ延期で経済にプラスの効果が出てくるだろう。そうなれば、さらなる賃上げにも期待が持てるのではないか。
公明党には、デフレ時代に拡大したとされる低所得者層の底上げをしてもらいたい。
景気は上向いているが、その実感がない人に直接効果が及ぶような政策実現に努力してほしい。