e広がる社会保障協定
- 2016.08.23
- 情勢/国際
公明新聞:2016年8月23日(火)付
インド(10月発効)で16カ国目
公明推進
年金保険料 二重払いなど解消
世界各国との経済連携が活発化し、海外で仕事をする日本人社員のさらなる増加が見込まれる中、日本政府は、自国と相手国との間で年金制度の運用を調整し、年金保険料の二重払いや、掛け捨てを解消するための社会保障協定の締結を推進している。10月1日には、16カ国目となるインドとの協定が発効する。
海外で働く日本人は、原則として赴任先の国の年金制度に加入する義務があり、日本の年金制度にもそのまま加入し続ける場合、両国へ二重に保険料を支払わなければならない。その上で、仮に赴任国に年金保険料を支払った場合でも、赴任国の年金を受け取る権利を取得できる「最低加入期間」の前に帰国すれば、納付した保険料は掛け捨てになってしまうという問題が生じる。
このため、社会保障協定では、相手国への5年以内の一時的な派遣と見込まれれば、自国の年金制度にのみ加入し、相手国への年金制度加入を免除するように規定。これにより、二重払いと掛け捨てを解消する。
一方、相手国で年金保険料を支払い、年金制度に加入した期間が年金受給の権利を取得できる最低加入期間に満たない場合に対し、協定では自国の年金に加入した期間を考慮できるように定め、加入期間や保険料納付額に応じて相手国の年金を受け取れるようにする。
例えば、10月から協定が発効するインドの場合、最低加入期間は10年。仮にインドの年金制度に7年間加入していた日本人社員は、日本の年金制度に3年以上加入していれば、加入期間の10年を満たすとみなされ、インドからも7年分の年金を受給する権利が得られる。
公明党は、国際化の進展に伴い、いち早く社会保障協定の必要性を指摘してきた。古屋範子厚生労働副大臣(公明党)は、「今後も海外で働く人に安心をもたらすため、社会保障協定の締結国拡大にしっかり取り組む」と語っている。