e新学期を控えて 子どもの"SOS"を見逃すな

  • 2016.08.23
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年8月23日(火)付



夏休みも残りわずかとなった。新学期を心待ちにする子どもは多いだろうが、学校再開に不安や悩みを抱えている子どももいるのではないか。

内閣府の自殺対策白書によると、過去約40年間の18歳以下の自殺者数を日付別で見た場合、新学期初日の「9月1日」が突出して多く、「8月31日」や「9月2日」が続く。1年で最も長い夏休みを過ごす中で学校生活を再開することへの心身の準備が間に合わず、その大きなストレスによって日ごろから抱いていた悩みが増幅され、自分を追い込んでしまうのであろう。悲痛な事態を招かないよう地域社会でも目配りをしていきたい。

なぜ子どもは自殺に至るのか。白書の分析によると、家族からのしつけや叱責、親子関係の不和など家庭生活が原因となることが多い。いじめや成績不振など学校生活に関する悩みも大きい。親にも友人にも相談できずに命を絶たざるを得なかった状況を思うと、胸が締め付けられる。

こうした不幸を食い止めるためには、まず、子どもが発する「サイン」に気付くことが大切だ。家庭で見せる表情や態度の変化を見逃さないことが第一だろう。家族の前では自殺の予兆を見せないものの、SNSなどネット上でほのめかすケースもある。親の目が届かないところだけに、友人の協力も欠かせない。

その上で大切なことは、悩みを抱えた子どもが自ら相談したり、SOSを発信できる環境づくりではないか。白書では、学校や地域、家庭の連携強化と同時に、精神保健の専門家による講演やスクールカウンセラーの活用を進め、相談までの心理的なハードルを下げる工夫を促している。

家族や友人には相談しづらい子どももいるだろう。日ごろから「周りの信頼できる大人に相談する大切さ」だけでも伝えたい。文科省やNPO法人が開設している無料電話相談の存在を知らせる努力も必要だろう。

最後に、今悩んでいる皆さんに呼び掛けたい。

まず、助けを求めてください。親や友人以外にも親戚、先生、近隣住民など話を聞いてくれる人はいます。悩みの全てでなくSOSだけでもいい。何よりも尊いあなたの命を大切にしてほしいのです。

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