e帰還困難区域に復興拠点
- 2016.08.25
- 情勢/社会
公明新聞:2016年8月25日(木)付
住民の健康守る施策推進
与党が首相に第6次提言
自民、公明の与党両党は24日、首相官邸で安倍晋三首相に対し、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興加速に向けた第6次提言を申し入れた。公明党から、東日本大震災復興加速化本部本部長の井上義久幹事長、事務局長の浜田昌良参院議員が出席した。
席上、井上幹事長は、今年度から5年間の「復興・創生期間」について「これからは、『人間の復興』『心の復興』が重要になる。引き続き被災者に寄り添って、国を挙げて(復興に)取り組んでほしい」と訴えた。
提言は、原発事故の影響で放射線量が高く、立ち入りが制限されている福島県内の「帰還困難区域」について、除染とインフラ整備を優先的に進める「復興拠点」を設置し、来年度から5年をめどに避難指示を解除することが柱。特に被災自治体の首長から与党に寄せられた要望が数多く反映された。
復興拠点は、市町村が県と協議した上で設置計画を策定。政府は計画を認定し、必要な予算措置や法整備を通じて後押しする。復興拠点以外にも、帰還困難区域内の国道6号など主要道路の除染も進めることなどが盛り込まれた。
このほか、提言には公明党の主張が大きく反映。福島復興に向けては、子どもをはじめ住民の健康を守る取り組みを着実に推進することを明記した。さらに、被災地域の土木工事で現場管理費などの割り増しを行い、復興事業を着実に進めるための「復興係数」の適用が来年3月までとなっている点に関しては、「引き続き被災地の実態に基づいて実施すること」とした。
また、漁業の本格操業再開に向け、簡易・迅速な放射線量検査体制の確立のほか、水産加工品の新規開発・輸出促進や、水産物の輸入規制緩和・撤廃などに取り組むよう要請。福島県浜通り地域にロボット産業などを集積する「イノベーション・コースト構想」の実現へ、関係省庁や県などが参画する協議会の創設や廃炉を担う人材の育成なども求めた。
提言に対して安倍首相は「しっかり受け止め、政府与党一体となって復興を加速させていきたい」と応じた。また、帰還困難区域の見通しについては「政府としての方針を早急に策定していきたい」との考えを示した。