e日中韓外相会談 連携強め北朝鮮問題に対処を
- 2016.08.26
- 情勢/解説
公明新聞:2016年8月26日(金)付
日中韓3カ国の外相会談が24日、東京都内で開かれた。日本での開催は2011年3月以来、実に5年ぶり。中国の外相の来日も、習近平氏が4年前に国家主席に就任して以降、初めてのことだ。
今回の外相会談を契機に3カ国が一層緊密に連携し、年内の開催が予定されている日中韓首脳会談の実現につなげてもらいたい。
慰安婦問題の解決に向けた合意に至って以降、改善基調にある日韓関係を除き、日中、中韓関係は現在、いずれも良好とはいえない。
日中間では、尖閣諸島周辺で中国の公船が日本領海への侵入を繰り返す異常事態が続いている。岸田文雄外相は、中国の王毅外相に強く抗議した。
一方で、中韓関係においては、韓国が米軍の新たなミサイル防衛システムの配備を決めたことに対して中国が猛反発。韓国との文化交流行事を停止するなど、報復と見られる動きも見せている。
こうした2国間の対立が先鋭化している状況では、外交関係は滞ってしまいかねない。それだけに、日中韓が対話を重視し、外相会談を開催したことの意義は大きい。
山口那津男代表が韓国と中国を相次いで訪問し、両国の首脳に働き掛けたこともあって実現した昨年11月の日中韓首脳会談以降、3カ国の相互依存関係が深まっていることも背景にあるだろう。
昨年の首脳会談では、3カ国が協力する分野を拡大するため、約20の閣僚級協議を含む50以上の政府間協議を推進していくことで合意した。
日中韓環境大臣会合(TEMM)や日中韓経済貿易大臣会合などが積極的に開催され、環境や経済といった幅広い分野での3カ国の協力関係が強まっていることが、外交における対話の土壌を生み出していることは間違いない。
3カ国の連携が最も求められる懸案の一つが、北朝鮮の核・ミサイル開発問題だ。北朝鮮は、今回の会談に合わせたかのように潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射した。「日中韓で国際的な取り組みを主導し、北朝鮮に挑発行動の自制を求めていく」(岸田外相)べきであり、3カ国が歩調を合わせていくことが一番重要だ。