e復興加速第6次提言 「帰還困難」解除へ制度化急げ

  • 2016.08.29
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年8月29日(月)付



「たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除し、復興・再生に責任を持って取り組む」―。

東日本大震災から5年半の節目を迎えるのを前に、自民、公明両党が政府に提出した「復興加速化のための第6次提言」に盛られた一文だ。

その力強い覚悟や、良し。福島再生と新しい東北の創造へ、政府与党一体の取り組みを一段と加速させてほしい。

提言は、被災者支援や住まいの確保など大きく14項目からなる。

このうち焦点となったのは、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域の取り扱いだ。放射線量が高く、政府はこれまで明確な方向性を示せずに来たが、自公両党は地元市町村からのヒアリングを重ね、「将来的に全面解除」の方針と、そこに至る道筋を初めて提示した。

具体的には、(1)来年度から5年をめどに帰還困難区域内に「復興拠点」を設定し、先行的に整備を進める(2)整備を終えた復興拠点は段階的に避難指示を解除する(3)復興拠点の整備計画は地元市町村が県と協議して策定し、これを政府が認定する(4)復興拠点の除染とインフラ整備は一体的かつ効率的に行う―といった内容。実現に向けた法整備と予算措置も求めている。

無論、これで大熊町など7市町村にまたがる帰還困難区域が即座に避難指示解除へと進むわけではない。約9000世帯、2万4000人余の避難対象住民にとっては、微かな光がようやく見えた程度かも知れない。

だがそれでも、めざすべきゴールが示された意義は小さくないはずだ。提言が故郷再生に向けた大きな節目となり、避難者の希望ともなるよう、公明党は先頭に立ってゴールへの道を切り開いていくことを約束しておきたい。

ともあれ、帰還困難区域から人が消えてまもなく5年半。生い茂る雑草や朽ちゆく家屋など、故郷の風景は荒れ果てる一方にある。これ以上の「放置」は許されないことは、誰の目にも明らかだ。

「提言を踏まえ、早急に政府方針を策定する」。その言葉通り、安倍首相は提言の早期具体化に努め、着実に実行に移していってもらいたい。

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