e大型客船用の港湾整備 観光や地方振興防災にも役割

  • 2016.08.30
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年8月30日(火)付



四方が海に囲まれた海洋国家の利点を、さらに生かしていきたい。

24日に閣議決定された2016年度第2次補正予算案に、大型クルーズ船に対応した港湾整備が盛り込まれた。

クルーズ船で入国した外国人客は年々増え続けており、昨年は前年比2.7倍の112万人に急増。当初の見通しより5年も早く100万人を突破した。クルーズ市場は今後も成長が期待できることから、大型クルーズ船を受け入れる環境整備を急ぐことは、政府が2020年の目標とする「外国人観光客4000万人」の実現に大きく寄与するに違いない。

大型クルーズ船の中には全長が300メートル以上の船も珍しくないが、これに対応できるだけの能力を有する国内の港は限られている。岸壁の延長はもちろん、ターミナルの機能拡充や周辺の道路整備なども併せて行い、受け入れ可能な港を増やしていくべきだ。

中でも期待されるのは、地方での港湾整備ではないか。

訪日外国人客の消費動向調査によれば、有名な観光地や免税店のある都市部に人気が集中しており、インバウンド(訪日外国人)消費の恩恵は地方まで行き渡っていない。

大型クルーズ船が地方に寄港できれば、大きな船で5000人もの乗客が一度に訪れることになる。1人当たりの外国人観光客の消費額が4万円以上とされるだけに、地方都市にとってその経済効果に対する期待は大きい。

大型クルーズ船向けの港湾整備は、災害時の防災拠点づくりの意味もある。

岸壁の延伸で大型の輸送船や貨物船が接岸できるようになれば、大量の支援物資を海路から運び入れることができる。大型船を接岸させて被災者の避難宿泊施設として活用することも可能になる。

実際に熊本地震では、大型フェリーが1カ月間、被災者向けの宿泊、食事、入浴サービスを累計2000人以上に提供した実績がある。災害対策の観点からも港湾整備を進める意義は大きいと言えよう。

港湾の整備について公明党は、先の参院選重点政策に盛り込み、選挙後も政府に実現を求めてきた。インフラ(社会基盤)整備の柱の一つとして、着実に推進していきたい。

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