eカード決済 不正使用など懸念払拭が急務

  • 2016.09.05
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年9月5日(月)付



クレジットカードによる買い物は身近な決済方法として既に広がっている。

しかし、内閣府が7月に実施し今月発表した世論調査によると、クレジットカードを積極的に利用したいと「思わない」が57.9%に上り、「思う」の39.8%を大きく上回った。

「思わない」理由を複数回答で聞くと、紛失・盗難により第三者に使用されるおそれがあるが41.3%、個人情報がカード会社や店舗から漏えいし不正使用される懸念があるが36.4%となった。

カード決済は現在の消費生活に根付いており、政府は現在、クレジットカード取引のさらなる安全性確保を進めている。国際水準の取引環境の整備に向け、取り組みを加速させる必要がある。

買い物をした際にクレジットカードの磁気ストライプの情報が盗み取られ、本人の知らない間にカードが複製される被害は後を絶たない。5月には、偽造クレジットカードによって17都府県のコンビニの現金自動預払機(ATM)約1400台から約18億円が不正に引き出される事件が起きた。引き出しには約100人が関与したとみられ、偽造されたのは南アフリカの銀行が発行した国際カードだった。脆弱な取引環境を改善しないと犯罪組織の横行を許してしまう。

磁気ストライプの情報は抜き取られやすいため、国際的には情報が暗号化されるICカードへの移行が進んでいるが、日本の小売店のレジ端末の約80%はまだ磁気カード決済といわれる。

日本クレジット協会の「クレジットカード取引セキュリティ対策協議会」が2月に公表した実行計画は、偽造防止対策として、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに、クレジットカードと店舗の決済端末の「ICカード対応化100%」の実現を掲げた。さらに、買い物客のクレジットカード情報をカード会社で保存し、買い物をした店舗には保存させないなどの"非保持化"の取り組みも進める。

政府は秋の臨時国会にクレジットカードの安全強化を義務づける法案の提出を予定している。消費者の懸念を払拭する努力を期待したい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ