eコラム「北斗七星」
- 2016.09.26
- 情勢/社会
公明新聞:2016年9月24日(土)付
もうすぐユリカモメが飛来してくる季節である。白い頭と赤色のくちばしのコントラストが何とも美しい。水辺に仲間と群れ、餌をついばむ風景は白い花が咲いたように映る。万葉の時代から、越冬する日本で都鳥と親しまれてきたのも、むべなるかな◆しかし、春から夏を過ごす繁殖地・カムチャツカでは変身する。頭や顔はほぼ真っ黒に、くちばしも黒っぽい赤色に染まる。しかも、繁殖期のため気が荒い。争う時は、相手と睨み合うほど恐ろしい面相になるらしい。「なぜ飼い犬に手をかまれるのか」(日高敏隆 PHP研究所)で知った◆ロシア下院選で、プーチン政権の与党「統一ロシア」が地滑り的勝利を収めた。議席を改選前より100議席余も上積みしたという◆今年は、日本と旧ソ連(現ロシア)が日ソ共同宣言に署名し、国交回復して60年の節目。この間、最大の懸案である北方領土返還のため、さまざまなアプローチを試みた。冷戦後の一時期、交渉進展の機運もあったが、日本の政権が短期間で目まぐるしく代わったことも響き、今日に至る。だが今、両国の政権は安定している◆11月のペルーに続き、12月には安倍晋三首相の地元・山口県で首脳会談を行う。プーチン大統領の面相が変わる激論になるのだろうが、解決への道筋をつけてほしい。(明)