eコラム「北斗七星」
- 2016.09.29
- 情勢/社会
公明新聞:2016年9月29日(木)付
ようやく「M字カーブ」が目立たなくなった。日本の年齢別の労働力率(求職者も含めた就業者の割合)のグラフで、ガクンと落ち込んでいた30~39歳の女性の部分のことだ。1985年と2015年を比較すると、30~34歳で20.6ポイント、35~39歳で11.8ポイント上昇し、かつてのようなくぼみは大幅に浅くなった◆時ほぼ同じく発表された別調査では、10~14年に第1子出産後も仕事を続けている女性の割合が53.1%と5割を上回った。30年余りも40%前後に停滞していた数字が、今回の調査で初めて目に見える改善を示した◆育児休業制度を利用している女性は急増している。第1子では39.2%と05~09年よりも12.1ポイント増えた(いずれも厚生労働省調べ)。最近5年間で、育児休業制度が急速に定着したことを感じさせる◆かのM字は、先進諸国では日本と韓国だけに残っているしろものだ。今年は1986年に男女雇用機会均等法が施行されてから30年にあたる。その節目に、女性が働き続けられる環境が整えられつつあることを示すことができた◆しかし、ようやく一つ現れた成果に過ぎない。夫が家事に協力しない、できない状況は変わらない。女性の働く環境の問題は、男性の働き方の問題でもある。着実で粘り強い改革がなお望まれる理由がここにある。(繁)