e山口代表の参院代表質問(要旨)
- 2016.09.30
- 政治/国会
公明新聞:2016年9月30日(金)付
「希望が、ゆきわたる国へ。」――公明党は先の参院選で、このスローガンを掲げ、国民に政策を訴え抜きました。
国内を見れば、少子高齢・人口減少という構造的変化の中、仕事や生活への不安、社会保障や地域コミュニティーの持続可能性への揺らぎ、頻発する自然災害の猛威への恐れなど、容易に晴れない、さまざまな課題が山積しています。
一方、世界では、紛争や難民問題、無差別テロなど人道上許し難い事態が続いています。
しかし、未来は変えられます。これらの不安を取り除く「希望」を示し、実行し、そして結果を出していく――これこそが政治の使命です。
公明党は、多様化する社会にあって、一人一人が輝き活躍できる社会をめざしてまいります。
防災・減災、復興
復旧、生活再建へ最大支援
台風被害
この夏、台風10号をはじめ記録的な豪雨が相次ぎ、北海道、東北、九州などを中心に大きな被害をもたらしました。お亡くなりになった方々に哀悼の意を表し、被災された皆さまにお見舞いを申し上げます。
特に岩手県は、先の東日本大震災と今般の台風による「二重の被害」に見舞われました。復興への意欲が損なわれないよう、十分な支援を求めます。
私は、甚大な被害に見舞われた北海道南富良野町に伺いました。
苦心惨憺の末、丹念に作り上げた大切な大切な畑が一瞬で無残な姿になり果て、悔しさをにじませる農家の方の姿が忘れられません。水産業でも主要な輸出産品であるホタテ養殖で多大な被害が出るなど、廃業や後継者離れの不安も広がっています。
政府が、被災地の強い要望を踏まえ、迅速な対応で、被害の大きかった地域を激甚災害に指定したことは高く評価します。
引き続き、被災者に寄り添い、一日も早い復旧と生活再建へ、被災された方々が将来に夢と希望が持てるよう、最大限の支援を強く求めたい。
異常気象が頻発
近年、日本での自然災害の多くに、「これまでに経験したことのない」という形容詞が付きます。
北海道では、先の台風により、多くの川が決壊し、氾濫が起こりました。自治体が管理する2級河川は、今般のような豪雨を想定した設計管理体制になっておらず、結果、被害の拡大につながったとの指摘もあります。
日本全国、異常気象が頻発し、また、自然災害は局地化・集中化・激甚化しています。
現在進めている自治体の国土強靱化地域計画の策定は継続して整備しつつも、さらに、今起こっている、あるいは起こりつつある気象環境の変化に対応した防災・減災対策を国と自治体が一体となって再構築していく必要があるのではないでしょうか。
東日本大震災、熊本地震への対応
東日本大震災から5年。復興は「復興・創生期間」へとステージが移りました。
公明党は、これからも「人間の復興」に焦点を定め、新しい東北の未来を拓くべく全力で取り組みます。
福島については、浜通りの夢と希望の象徴である「福島イノベーション・コースト構想」を力強く進めていくことが「福島再生」の大きな原動力になります。廃炉技術の開発とロボット関連産業とともに、再生可能エネルギーや水素等の最先端エネルギー産業の集積も進め、そこから新たな産業振興や雇用創出につなげていくことも重要です。
オリンピック・パラリンピックの舞台は、リオから「2020年、東京」へと移ります。「東京」とは言っても日本全国が舞台です。福島での野球・ソフトボールの試合開催を検討中、とも伺っています。「復興五輪」に向け、東北再生を強く後押しすべきです。
熊本地震からの復旧・復興に向けても、引き続き、被災者に寄り添い、多様な状況に応じたきめ細かい支援に全力を挙げるよう求めます。
経済再生
2次補正予算の成立急げ
成長と分配の好循環
さて、安倍政権の最重要課題は「経済の再生」です。
政権発足後、雇用と所得環境を中心に大きく改善されるなど着実に回復へと向かっています。
しかし、なお道半ばです。世界経済もイギリスのEU離脱による不確実性の高まりなど下振れリスクもあります。
こうした状況をとらまえ、「アベノミクスは失敗だった」との批判が聞かれますが、これはまったく当たりません。
経済再生の重要なキーワード―それは「成長と分配の好循環」です。
成長だけ、分配だけでは、循環しません。「成長」と「分配」が互いにかみ合って循環してこそ、経済と生活の結束が生まれます。
アベノミクスによる「成長」の果実を「分配」に回す。その「分配」された果実を使い投資や消費などで経済を回す。それがさらに「成長」を促す。この好ましいサイクルを今まさにつくり上げつつあるのです。
1億総活躍社会の実現、働き方改革、第4次産業革命の活用などによる成長戦略、地方創生の本格化―等々、消費税率引き上げ再延期と合わせ、経済再生へ、総合的かつ一体的な取り組みが同時並行で進行中です。併せて、デフレ脱却に向け、日銀の金融政策も、政府と連携を密にしつつ、適切に取り組んでいくことが重要です。
まさに、アベノミクスの加速化に向けた正念場です。与党として政府とともに、これらの改革を強力に推し進め、必ずや成果を出していきます。
経済対策
経済再生を後押しする重要な柱が、先に決定した事業規模28兆円を超える「未来への投資を加速する経済対策」です。そして、その実行のための第2次補正予算案です。速やかな成立と執行を強く期待します。
三点、申し上げたい。
第一には、消費税率引き上げ時に実施予定であった社会保障の充実策の一つである無年金対策、すなわち年金受給資格の取得期間を25年から10年へと短縮する制度を来年度から導入することを決めました。まさに「成長」の果実を財源として活用し実現したものであり、安倍政権が赤字国債に頼るなどの無責任な財源論を採らない好事例とも言えましょう。
第二には、日本経済を支える中小企業・小規模事業者に対する施策です。
金融支援だけでなく生産性の向上や革新的な商品開発、海外展開など新たな"挑戦"を後押しするものです。また、公明党の強い要望により、いわゆる「ものづくり補助金」が追加計上されたことは高く評価します。
第三には、リニア中央新幹線など大型公共事業のみならず、生活密着型インフラの整備が重要な柱として位置付けられました。ホームドア、エレベーターなど鉄道駅のバリアフリー、上下水道・浄化槽の整備、開かずの踏切対策など地域のニーズに応じた施策が展開されるとともに、地域の経済活性化にも資するものと考えます。
このように、今般の経済対策・補正予算案は、「成長」の果実を活用し、家計、中小企業、地方への「分配」によって、未来に向かって大きな経済効果をもたらす重要なものと考えます。
非正規から正規への流れつくり出せ
第4次産業革命
アベノミクスによる大きな成果は、賃金の大幅な上昇と雇用環境の改善です。
この流れを維持・加速化する一方、人手不足という新たな課題の解決への取り組みも大切です。
まず第一に指摘したいのは、成長戦略の加速です。
今年まとめた「日本再興戦略2016」を実効あるものとするため、明確に焦点を定め、工程に沿って、絶えずサイクルを回しつつ、官民一体での取り組みを加速し、着実に成果を出していくことが重要です。
ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)といった技術は、私たちの想像を超えるスピードで進展しています。いわゆる"第4次産業革命"という世界の流れに、わが国が乗り遅れることは許されません。
こうした技術は、人口減少に伴う供給制約や人手不足を克服するための「生産性革命」にも通じます。
例えば、人手不足に悩む介護の現場。介護離職の要因の一つが、要介護者のケアなどの重労働です。こうした負担もロボットの導入で大幅な軽減が期待できます。国・自治体、企業、大学、そして、現場が一体となり、実用性のある機器の開発を加速すべきです。
働き方改革
第二には、「働き方改革」です。
○次代を担う若者が安定した就労によって将来設計を描くことができる。
○子育てや介護に奮闘する現役世代が、安心と希望を持つことができる。
○年齢や障がいにかかわらず、意欲と能力に応じて多様な選択肢が提供される。
こうした「働き方」の実現こそ、一人一人が持つ力を最大限に発揮し、希望に応じて活躍できる社会を構築するために必要不可欠です。また、それは、これからの日本社会の活力と持続的な成長を生み出す源泉であると考えます。
そこで強調したいのは、女性や若者の活躍を後押しする施策の充実です。
安倍首相は「『非正規』という言葉を、この国から一掃しよう」と呼び掛けられました。その通りです。政府・与党、力を合わせて実現をめざします。
非正規から正規への流れをつくり出すためには、働く人の実情に沿った、きめ細かな支援策が不可欠です。例えば、非正規で働く人のキャリアアップにつなげる能力開発の機会を拡大し、希望する仕事や職種に就けるように支援を強化すべきです。また、子育てや介護などで、人生の途上で、仕事上のキャリアが断絶してしまわないよう、テレワークなど柔軟な働き方の導入促進や、再雇用や復職ができるような支援に配慮すべきです。
高齢者の雇用促進も欠かせません。現在、法的には65歳までの雇用確保措置があります。さらに、来年1月からは65歳以上の高齢者も雇用保険が適用されるようになります。今後、さらに元気な高齢者が活躍できるよう環境整備を進めていくべきです。
他方、高齢者雇用の現実は、求職希望に対し実際就職できたのは4分の1程度にとどまっています。高齢者の特性を踏まえた、きめ細かな再就職支援が大きな課題です。高齢者の再就職を支援する「生涯現役支援窓口」の設置促進、シルバー人材センターの機能強化など、相談・マッチング・雇用の場の拡大への取り組みを一層強化すべきです。
地方創生
第三には、本格的な実行段階に入る「地方創生」についてです。
各自治体が策定した「地方版総合戦略」には、地域資源や地域の特色に着目したユニークな施策が数多く盛り込まれています。地方の取り組みをさらに定着、発展させるため、国による財政面、ソフト面など幅広い継続的支援が不可欠です。
中でも、地域を支える人材・人手不足は、地方の方が深刻です。若者が大都市に流出するという経済社会構造を転換する抜本的な対策が必要です。
政府機関を一部、地方に移転する取り組みに加え、企業の本社機能を地方に移転することは、新たな雇用を生み出します。その促進のため、税制を含めた措置の拡充を検討すべきです。併せて、地方にいても十分に働けて生活ができるよう、「働き方改革」などの制度改革も急ぐべきと考えます。
中小企業支援
第四には、中小企業・小規模事業者への支援についてです。
アベノミクスの大きな成果である賃上げは、中小・小規模事業者にも広がってきました。しかし、売り上げや収益が伸びず、賃上げができない、あるいは、賃上げするにしても、無理を通して取り組んでいる経営者の方々も多くおられます。
生産性向上、経営力強化への支援はもちろん、賃上げができる環境を整えるためのさまざまな施策を講じていくべきです。
例えば、補正予算案では、小規模事業者を対象とした持続化補助金について、賃上げを実施した場合は上限100万円まで補助する措置が盛り込まれました。こうしたきめ細かな対策が求められます。
下請け対策も重要です。親企業による不適正な取引行為は正されるべきです。
下請け取引適正化については、公明党も提言を取りまとめるなど政府・与党一体で取り組み、さまざま改善を進めてきました。
先般公表されたパッケージ策でも、「下請代金法の運用強化」や「下請ガイドラインの充実」などのわが党の主張が示されており、今後、取引慣行の改善の加速化が期待されます。
子ども・子育て支援
教育費の負担軽減さらに
教育格差の是正
私が「成長と分配の好循環」をなぜ強調するのか。それは、成長の好循環だけでは貧困や格差を解消できないからです。
特に、未来の宝である子どもたちへの支援は、国の重要な責務です。しかし現実には、家庭の経済事情による教育格差が大きな課題となっています。
経済状況が厳しい家庭で育った子どもが満足な教育を受けられず、進学や就職のチャンスを失う。そして、自らも貧困に陥ってしまう。こうした「貧困の連鎖」を断ち切らねばなりません。
そのため、教育の機会均等の確保、特に教育費負担の軽減は、極めて重要です。
これまで公明党は、奨学金の拡充に力を注いできました。安倍首相は、来年度の給付型奨学金の創設、そして、無利子奨学金も成績にかかわらず必要とする、すべての学生が奨学金を受けられるようにする旨、明言されました。確実な実現を求めます。
さらに、大学授業料の免除枠の拡大に取り組むとともに、幼児教育の段階的無償化、高校生等奨学給付金の拡充等により、すべての子どもが希望すれば、大学まで進学できる仕組みを構築していくべきです。
また、学校をプラットフォームとした子どもの貧困対策、学習支援などにも力を入れていただきたい。
子どもが抱える問題は多様です。きめ細かな学習指導とともに、学校を窓口とした福祉関連機関等との連携を強化するためにスクールソーシャルワーカーの配置拡充など、支援策を強化すべきです。
地域ぐるみで支える
子育て支援に関しては、保育所等の整備や保育士の処遇改善など強力に推進してきました。しかしながら、まだ待機児童問題は解消されていません。待機児童ゼロへの取り組みをさらに加速化すべきです。
2014年度中に無理心中以外の虐待で亡くなった子どもは44人。そのうち0歳児が6割以上を占めています。望まない妊娠をした母親が孤立したまま出産し、虐待につながった―残念ながら、こうしたケースは少なくありません。増え続ける児童虐待対策の強化も待ったなしです。
私は、これまで妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援策を担う日本版ネウボラの全国展開の必要性を訴えてきました。子育てに不安を抱える母親の心を和らげ、それが出生率の増加や児童虐待の防止・減少に確実につながるという確かな効果があります。
NPO等民間団体との連携の強化を含め、子育てを地域ぐるみで支える体制を整備すべきです。
やさしいまちづくり
安全・安心の視点が重要
地域のコミュニティーを基軸にした、安全・安心のやさしいまちづくりを進めていかなければなりません。
先日、地下鉄駅で視覚障がい者の方が駅のホームから転落し死亡する痛ましい事故が起きました。駅にホームドアが設置されていれば防げた事案です。ホームドア設置にはコストや扉の位置の兼ね合いなどの課題がありますが、これらを解決する新たなホームドアの実用化も進んでいます。
駅などの公共施設に関しては、高齢者や障がい者だけでなく多くの人にとって使いやすいユニバーサルデザインに改めることは、これからの公共事業の重要な視点の一つといえます。
住宅対策の見直しも検討すべきです。空き家対策は法整備も含め進んでいますが、依然、人口減少・高齢化の中で空き家は増加し、結果、地域のコミュニティーも停滞しています。地域の活性化の視点から、空き家問題も含めた住宅政策の見直しが急がれます。併せて、若者が家を持てるよう、住宅セーフティーネットの構築なども進めるべきと考えます。
外交・安全保障
政党交流を積極的に推進
安倍首相は、自ら積極的に世界各地に赴き、地球儀を俯瞰する外交を展開しています。
参議院選挙後の2カ月で地球を3周。アジア欧州会議(ASEM)首脳会合に始まって、先週の国連総会、キューバ訪問に至るまで、国際会議、2国間での首脳会談など精力的に外交活動を展開されました。また今年は、G7議長国として一連の閣僚会合を含め成功裏に終了し、その責務を果たしたものと評価します。
安倍政権になり、世界の中での日本の存在感は格段に高まりました。さらに外交力を高めていくべきです。
東アジア情勢
さて、核・弾道ミサイル技術の進展を伴う北朝鮮の挑発行為は、地域の安全保障環境の不安定化を招くだけでなく、国際社会の平和と安全に対する重大な挑戦です。国際社会が一致して、累次の安保理決議に基づく制裁措置の完全履行や、新たな非難と実効性を伴う安保理決議の早期採決は非常に重要です。
安倍首相は、国連総会で「既往に一線を画す対応をもって、これに応じなくてはならない。力を結集し、北朝鮮の計画を挫かなくてはならない」「安保理が、新次元の脅威に対し、明確な態度を示すべき時」と強く訴えられました。また、キューバ訪問の際にも核・ミサイル・拉致といった諸問題の解決への協力を要請されました。国際社会が一致して対処することが重要です。
米大統領の広島訪問
本年5月、オバマ大統領が現職のアメリカ大統領として、初めて広島を訪問されました。わが党も微力ながら、大統領の被爆地訪問実現への取り組みを進めてきたところであり、大変に感慨深いものがあります。
「『核兵器のない世界』を日本とともに目指していく」―この力強いオバマ大統領の演説は歴史的意義を持つものです。
また、安保理は、今月23日、核実験を全面的に禁じる「包括的核実験禁止条約」(CTBT)の早期発効を求める決議を採択しました。今こそ、「核兵器のない世界」、核廃絶への流れを強めるチャンスです。
唯一の戦争被爆国として、核不拡散体制の強化はもちろん、核保有国と非核保有国の橋渡し役を積極的に努め、核廃絶に向けて具体的な措置を積み重ねる。こうした地道な取り組みが、核兵器禁止条約を含むさまざまな法的枠組みの実現につながるものと考えます。
持続可能な開発目標
第6回アフリカ開発会議が初めてアフリカで開催されました。採択された「ナイロビ宣言」には、人間の安全保障の考え方の下、質の高いインフラ投資や気候変動・防災対策などが盛り込まれ、公明党も重視している「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けて大きな弾みとなりました。
今後の取り組みとして、政府のSDGs推進本部の下、NGOや民間部門とも連携し、国外のみならず国内対策を含めた指針を策定し、国際社会をリードしていくことが重要です。
中南米諸国を訪問
先般、私は、党訪問団として、パナマ、コロンビア、キューバの中南米3カ国を訪問しました。
政府間外交ではない政党・議員間交流は、「人と人との信頼をつなぎ、平和の礎を築く力」を持っています。公明党は、これからも政党交流を積極的に進める決意です。
特に、キューバについては、安倍首相の親書を携えて訪問し、要人との有益な対話を重ねてきました。このたび、首相は、日本の首相として初めてキューバを訪問され、医療機材にかかる新たな無償資金協力で合意するなど両国間の重要な礎が築かれました。今後、さらに民間を含めた経済協力の拡大など両国関係の強化に力を注ぎ、この地域の安定化に貢献していただきたい。
また、安倍首相は、コロンビアのサントス大統領とも会談されました。同国は、半世紀以上続いた内戦に終止符が打たれ、今後、平和の定着と経済の発展が大きな課題です。私と会談した折も、平和の定着に向けた対人地雷の除去支援など、わが国の貢献に謝意を表し、今後の支援に期待を示しました。わが国の技術と実績を生かして、さらに積極的な支援・協力を強化すべきと考えます。
テロ対策の強化
人道にもとる卑劣なテロは到底容認できず、国際社会はこれに屈してはなりません。
2020年の東京五輪。「世界一安全な国、日本」をつくるためのテロ対策は待ったなしの課題です。
国際組織犯罪防止条約は、2003年、国会で自民党、当時の民主党、公明党、そして共産党が賛成し承認されました。しかし、先進国の中では、わが国だけが締結には至っていません。
日本として、テロとの戦いを進める国際的な連携に不安はないのでしょうか。
テロは世界各地で頻発し、残念ながら日本人の犠牲者も出ています。わが国において、テロ対策はどうあるべきか。見解を求めます。
地球温暖化
途上国支援 強化すべき
昨年末、COP21において、すべての国が温室効果ガスの削減に取り組む国際的な枠組みであるパリ協定が採択されました。
今月3日には、排出量世界第1位の中国、第2位のアメリカがそれぞれ批准しました。また、パリ協定の発効の要件の一つである55カ国以上の締結手続きは達成され、年内発効に向け、排出量第6位の日本の動向に強い関心が集まっています。
日本は、先進国として、地球温暖化という深刻な課題に断固たる決意で立ち向かう、という明確な意思表示をすべきです。そのため、今国会での承認と批准手続きを進めるべきです。また、環境先進国として、途上国に対する支援も併せて強化していくべきです。
安倍政権発足から3年9カ月。「政治の安定の上に立って、政策を着実に前へと進める」―先の参院選挙を含め、国民の皆さまから、自民・公明の連立政権に大きな支持を頂きました。
これからも、多様な民意・ニーズを受け止める一翼を担う与党として、公明党は、さらにその力を発揮し、山積する政治政策課題に真正面から取り組み、政府と一体となって、国民政策を着実に実現してまいることを、お誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。
山口代表に対する 安倍首相らの答弁(要旨)
【安倍晋三首相】
一、(熊本地震の対応について)できることはすべて行うという決意の下、被災者に寄り添いながら政府一丸となって、一日も早い被災者の生活再建、被災地の復旧・復興に全力を挙げていく。
一、(給付型奨学金について)2017年度予算の編成過程を通じ、制度内容の結論を得、実現する。教育費負担軽減に向けて、スピード感を持って取り組んでいく。
一、(中南米地域の関係強化について)経済の結び付きを一層深め、グローバルな課題解決に向けて話し合い、人と人との交流の拡充を通じて、中南米地域の安定と発展に引き続き貢献していく。
一、(「持続可能な開発目標」達成への取り組みについて)公明党は「人間の安全保障」や「持続可能な開発目標」に関して積極的に貢献されており、敬意を表する。達成へ政府一丸で取り組む。
一、(パリ協定について)早期発効を重視している。必要な準備、調整が整い次第、パリ協定を今国会に提出し、迅速な締結に向けて全力を尽くす。
【石井啓一国土交通相】
一、(駅ホームの安全対策について)年内をめどに、ホームドア整備の加速化や視覚障がい者への誘導案内の強化など、ハード・ソフト両面から転落防止対策の強化を検討している。
【世耕弘成経済産業相】
一、(下請けなど中小企業支援策について)公明党の提言も踏まえて「未来志向型の取引慣行に向けて」を取りまとめた。本来は親事業者が負担すべき費用を下請け事業者に押しつけることがないよう、年内に関係法令の運用を強化し、徹底していく。