e支え合いの共生社会を実現

  • 2016.10.03
  • 情勢/社会
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公明新聞:2016年10月2日(日)付



山口代表、井上幹事長の代表質問から



公明党の山口那津男代表と井上義久幹事長は9月28、29日の両日、衆参両院の本会議で安倍晋三首相の所信表明演説などに対する代表質問を行いました。質問では、経済再生に向けた「成長と分配の好循環」の実現、自然災害への対応、働き方改革や子育て支援の推進などを強調。人口減少と急速な高齢化が同時進行する中で、皆が支え合う共生社会の構築の必要性を訴えました。公明党の主張のポイントと、識者・関係者の反響を紹介します。


成長と分配の好循環


無年金対策など、「果実」を家計や中小企業、地方へ

デフレ脱却へあと一歩、経済再生は正念場です。山口代表、井上幹事長は、経済政策に伴う税収増などの成長の「果実」を社会保障の充実などの形で国民に分配する「成長と分配の好循環」が経済再生のカギになると主張。山口代表は「必ずや成果を出していく」と決意を語り、政府の経済対策を裏付ける今年度第2次補正予算案や関連法案の早期成立を求めました。

「果実」の適切な分配なくして安定した成長はあり得ません。井上幹事長は、年金受給資格の取得に必要な加入期間を25年から10年に短縮する無年金者対策について「年金受給者のすそ野が広がる大きな改革だ」と強調し、今国会での法案成立を経て来年度中の早期実施を求めました。

また、山口代表は、補正予算案に盛り込まれた「ものづくり補助金」の充実を含む中小企業支援策を評価。上下水道や浄化槽の整備など生活密着型のインフラ整備は「地域の経済活性化に資する」として、家計や中小企業・小規模事業者、地方への波及効果に期待を寄せました。

安倍首相は「補正予算案の早期成立を図り、内需を力強く下支えするとともに、未来への投資を大胆に行っていく」と答えました。

一方、井上幹事長は、日本経済の発展に向け、中小企業・小規模事業者の成長が不可欠であり、革新的技術の導入支援や、観光戦略の推進が重要だと指摘しました。


働き方改革、社会保障


非正規労働者の待遇改善、給付型奨学金創設を確実に

長時間労働の是正について、井上幹事長は「ワーク・ライフ・バランスや健康保持の観点からも、思い切った労働時間法制の見直しが必要」と迫り、時間外労働の上限規制を設けることなどを提案。また、非正規労働者の待遇改善について、同一労働同一賃金の実現や、キャリア形成支援の強化を求めました。

山口代表は、女性や若者の活躍を後押しする施策の充実、高齢者の雇用促進を訴えました。

家庭の経済事情による教育格差の問題も取り上げました。「『貧困の連鎖』を断ち切らなければならない」。山口代表は、こう力説し、給付型奨学金の創設や無利子奨学金の拡充に関する政府の方針について、確実な実施を要請しました。安倍首相は「給付型奨学金は、2017年度予算の編成過程を通じて、制度内容について結論を得、実現する。教育費負担の軽減に向けて、スピード感を持って取り組む」と応じました。

このほか山口代表は、子どもの貧困対策や児童虐待防止策の強化を、井上幹事長は、福祉・介護人材の確保に向けた支援の充実や、患者に寄り添ったがん対策の強化を求めました。

一方、今年8月、視覚障がい者が地下鉄駅ホームから転落し、電車にひかれ死亡した痛ましい事故を受け、山口代表は「駅にホームドアが設置されていれば防げた事案」と指摘。石井啓一国土交通相(公明党)は、「ホームドア整備の加速化や誘導案内の強化など、転落防止対策を強化する」と答えました。


TPP、外交安保


TPP、温暖化防止のパリ協定の今国会承認へ全力』

環太平洋連携協定(TPP)について井上幹事長は、「TPPの承認とともに、『総合的なTPP関連政策大綱』に基づき、国内対策の着実な実行が重要だ」と主張。特に影響が懸念される農業の持続的な発展に向け、公明党が訴えてきた農業経営を下支えする収入保険制度の創設など具体策の実施を求めました。安倍首相は、攻めの農業の転換に必要な体質強化策を講じるとし、「公明党とも緊密に連携しつつ、年内を目途に改革プログラムを取りまとめる」と述べました。

一方、山口代表は、党中南米訪問団がキューバなど3カ国を歴訪したことを踏まえ、今後も政党・議員間交流を進める決意を語る一方、中南米地域の安定化について政府見解を聞きました。

地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」については、「今国会での承認と批准手続きを進めるべきだ」と主張。安倍首相は、「気候変動という国際社会の深刻な課題への対応に最大限貢献する立場から、早期発効を重視している」との認識を表明した上で、今国会に承認案を提出し、迅速な締結に向け全力を尽くす考えを示しました。

井上幹事長は、日中、日韓両国との首脳会談を踏まえ、関係改善が着実に前進する流れを「年内に日本で開催予定の日中韓サミットへつなげるべき」と強調。北方領土問題の解決に向け、首脳会談などによるロシアとの議論加速の必要性も訴えました。


復興、防災・減災


廃炉へ正確な情報発信重要


災害の激甚化への対応急げ

東日本大震災から約5年半、「復興・創生期間」開始から半年がたちました。山口代表は「人間の復興」に焦点を定め、新しい東北の未来を開くために全力を挙げる決意を表明しました。

福島再生に向けて井上幹事長は、東京電力福島第1原発の廃炉について、正確な情報発信で県民、国民の理解を得ながら安全に進める重要性を強調。原発事故の帰還困難区域に関して、除染とインフラ整備を一体的に進める「復興拠点」を設け、来年度から5年を目途に避難指示解除をめざす政府方針に触れ、風評対策などを求めたほか、「帰還支援、生活再建支援は国の責任で引き続き行うべきだ」と主張しました。

熊本地震からの復旧・復興について山口代表は、被災者に寄り添い、多様な状況に応じたきめ細かな支援を政府に要望。今夏の一連の台風による豪雨被害に関して、特に岩手県は大震災と豪雨による「二重の被害」に見舞われたことに言及し、「被災者が将来に夢と希望を持てるよう、最大限の支援を」と訴えました。

防災・減災対策で山口代表は、全国で異常気象が頻発し、自然災害は局地化、集中化、激甚化していると述べ、「気象環境の変化に対応した対策を再構築する必要がある」と力説。安倍首相は、河川の氾濫防止だけでなく、氾濫した場合の被害軽減策の導入など「総合的な取り組みを地方自治体と一体で推進する」と応じました。


論戦の反響


昭和女子大学理事長/坂東眞理子さん


「生活者を最優先に」の姿勢伝わる

「政治や経済は、生活者が豊かに人間らしく生きるための手段」と井上幹事長が訴えたように、公明党の代表質問からは「生活者を最優先に」との姿勢がひしひしと伝わってきました。

特に、女性の活躍や介護、子育てにも深く関わる働き方改革に対する主張は「わが意を得たり」と賛同するものばかり。山口代表は、非正規で働く人のキャリアアップ支援を強調しました。能力開発の機会拡大や、希望の仕事に就くための支援を通した若者たちへのサポートは喫緊の課題です。

井上幹事長も正社員の6割しかない非正規の時間当たり賃金を8割にと指摘し、「同一労働同一賃金」のスローガンに具体性を与えています。長時間労働を是正する上限規制の設定も説得力があります。

教育格差の解消や「貧困の連鎖」を断ち切るという観点から、給付型奨学金の創設など奨学金の拡充も、経済的な負担に悩む学生を間近で見てきた立場から必要性を切に感じます。

「平和に勝る福祉なし」です。今後も公明党には、平和を訴え続けながら、生活者目線の政治を貫かれるよう期待しています。


日本水道協会理事長/吉田永氏


現場を知る公明ならではの視点

日々、安全で安定した給水を行う水道事業は、国民生活を支えるライフライン(命綱)です。公明党の主張で、生活密着型インフラである上下水道や浄化槽の整備が今年度第2次補正予算案に盛り込まれ、衆参両院の代表質問でも言及していただきました。次世代にも安心の水道網を継承していくことは欠かせません。まさに現場を知り、地域の課題解決に取り組んでこられた公明党ならではの視点です。

現在の水道施設は、大半が高度経済成長の時に整備され、老朽化が課題です。法定耐用年数の40年を超える水道管の割合は、2014年時点で全体の12.1%となり、全長は約8万キロ(地球約2周分)にも及びます。その割合は年々増え、水道管の更新は喫緊の課題。また、あらゆる災害に備えて耐震化を図る必要性もあります。

さらには、水道事業の7割が中小規模事業者であることを考えると、経済対策による成長の果実が全国各地にゆきわたり、さらなる「経済の好循環」につながると確信しています。これからの国会論戦にも期待しています。

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