e非正規から正社員へ 企業はスキル向上の機会与えよ
- 2016.10.04
- 情勢/社会
公明新聞:2016年10月4日(火)付
非正規雇用から正社員をめざしたい―。その願いが実現するよう後押しする政策が求められている。
安倍政権の重要課題の一つであり、現在開会中の臨時国会の大きなテーマである「働き方改革」。その中で、雇用者全体の約4割を占める非正規の待遇改善が大きな焦点となっている。とりわけ正社員への転換を望む人を支援することは「1億総活躍社会」をめざす上でも欠かせない。
そこで必要になるのが、より高い専門的知識や能力を身に付けること、すなわちキャリア形成である。
しかし、企業が積極的にキャリア形成に取り組む正社員に比べて、非正規は不利な立場にある。キャリア形成の機会を確保し、正社員の道が開けるようにすべきである。
具体的には、国の「教育訓練給付制度」の活用を非正規に促すことが考えられよう。この制度は、雇用保険の加入期間など一定の条件を満たした人に対し、国が指定する教育訓練講座の受講費用の一部を助成するものだ。
情報処理技術者資格や簿記検定など、仕事のスキルアップにつながる講座を対象にしたコースに加え、公明党の推進によって、看護師や建築士など専門的な職業資格の取得をめざすコースも設けられ、成果を上げている。さらなる制度の普及へ、国や関係団体などはPRに力を入れてほしい。
また、非正規の能力開発には、企業側の協力が欠かせない。この点、正社員化などを進める企業に、職業訓練の費用や訓練中の賃金の一部を助成する国の「キャリアアップ助成金制度」の利用が広がりつつあることは一定の評価ができよう。
今後は、身に付けたスキルが企業の枠を超えても労働市場で正しく評価、活用されるような資格や検定制度の整備が一層必要ではないか。業界団体などによる実効性ある取り組みが望まれる。
「非正規で働く人のキャリアアップにつなげる能力開発の機会を拡大し、希望する仕事や職種に就けるように支援を強化すべきだ」。9月29日の参院代表質問で、公明党の山口那津男代表はこう訴えた。雇用の不安を安心に変えていく取り組みを急ぎたい。