eアフガン復興 日本の人材育成支援さらに
- 2016.10.06
- 情勢/解説
公明新聞:2016年10月6日(木)付
政府と反政府勢力「タリバン」との長引く紛争などで混迷を深めるアフガニスタン。そのアフガンへの支援を来年以降も継続するための国際会議が5日、ベルギーの首都ブリュッセルで開かれた。
同会議には約70カ国が参加。2017年から20年までの4年間で総額約140億ドル(約1兆4300億円)の支援を行うことを決めた。日本も16億ドル(約1640億円)の支援を表明した。
これは、過去4年間の支援額(約160億ドル)の水準を維持しており、タリバン政権下で疲弊したアフガンの復興に向け、引き続き国際社会が結束して支援する姿勢を示した意義は大きい。
01年の9.11米国同時多発テロ後、当時、アフガンを支配していたタリバン政権は、首謀者である国際テロ組織アルカイダの指導者だったウサマ・ビンラディン容疑者(11年に死亡)の引き渡しを拒んだため、米軍などの攻撃を受け崩壊。現在のアフガンの大統領はアシュラフ・ガニ氏。14年の大統領選で選ばれた。
この間、アフガンでは、500万人を超える難民が帰還し、初等教育就学率も増加するなどの改善が見られた。国内総生産(GDP)の伸び率が年平均約10%に至る時期(03~06年)もあった。しかし、こうした発展は、アフガンが国家予算の約7割を国際支援に依存してのものであり、今後、アフガンが自立して国家再建を進められるかどうかが注目されている。
とはいえ、「紛争が続く限りアフガンの自立は難しい」(国連アフガニスタン支援団の山本忠通代表)。近年、タリバンが攻勢を強めているが、タリバンの中には、和平協議を望む穏健派も少なくない。まずは、アフガン政府とタリバンとの和平交渉が実現するよう、国際社会が後押ししていくことが不可欠である。
また、アフガンの自立を支える人材育成も必要だ。
日本は、750人のアフガンの行政官を日本の大学院に受け入れ、修士号や博士号を取得してもらう人材育成支援を行っている。既に500人以上が日本で学び、このうち159人がアフガンに帰国し、復興に尽力している。日本は今後も、こうした人材育成支援に一層力を入れたい。