eストレスチェック 心の不調防いで元気に仕事を
- 2016.10.11
- 情勢/解説
公明新聞:2016年10月8日(土)付
ストレス社会を生きる労働者が自分の心の不調を未然に防ぎ、健康で働き続けられるよう積極的に活用したい。
昨年12月から、従業員が50人以上の事業所に対し「ストレスチェック」を全従業員に年1回行うことが義務付けられた。2014年の労働安全衛生法の改正によるもので、企業の自主的な対応が中心だったメンタルヘルス(心の健康)対策に、国が本腰を入れて取り組むようにしたものだ。
厚生労働省の労働安全衛生調査によると、職場で強い不安や悩みなどを感じている労働者の割合は近年高止まり傾向だ。メンタルヘルスの不調を理由に、連続1カ月以上の休業や退職した労働者がいる企業の割合も増えている。
うつなどの心の不調は、早期発見・早期治療が第一とされるだけに、ストレスチェックを法律で義務付けた意義は大きいといえよう。
ただ、ここにきて課題も浮上している。民間の調査によると、今年7月時点での実施状況は、従業員1000人以上の企業が約49%だったのに対し、50人以上200人未満の企業では約20%にとどまった。企業規模が小さいほど実施率は低く、「実施未定」や「実施しない」と回答した50人以上200人未満の企業は約14%に上った。
ストレスチェックは50問程度の質問に答えてストレス度を確認するという簡易なものだが、初めてのことで戸惑ったり、担当者を確保できないなど、さまざまな理由が想定されている。
公明党の山口那津男代表が1月の参院代表質問で訴えたように、中小企業の費用負担への配慮が必要だ。各地の労働局など関係機関は企業の相談に応じ、円滑に実施できるよう後押ししてはどうか。
一方、ストレスチェックを終えた企業は、結果をしっかり分析して職場環境の改善に生かす必要がある。高ストレスと判定された場合、産業医などの面接指導を受けられるが、事業者に申し出る必要があるため、人事上の不利益を被らないかと不安になり、申し出をためらう人もいるだろう。それでは本末転倒だ。企業側には、プライバシーの保護も含め、従業員が健康の維持に活用しやすくなるよう工夫を求めたい。