e政府が難民支援を拡充
- 2016.10.18
- 情勢/国際
公明新聞:2016年10月18日(火)付
3年で2800億円の協力表明
「人間の安全保障」推進、公明の調査・要望が実る
難民問題は国際社会が直面する大きな課題の一つ。9月19日、米ニューヨークで開かれた「難民と移民に関する国連サミット」で安倍晋三首相は、日本政府として「人間の安全保障」の観点で、2016年から3年間で総額28億ドル(約2800億円)規模の難民支援を実施することを表明した。
また安倍首相は同20日、オバマ米大統領主催の「難民サミット」でも、同大統領の提唱で新たに設立された世界銀行の人道支援の枠組みに総額1億ドル(約100億円)規模の協力を行うと発表。約100万人に対する教育支援や職業訓練などの人材育成のほか、青年海外協力隊がシリア難民の子どもたちの支援に取り組む意向を示した。
さらに、今年5月に決定したシリア難民を留学生として5年間で最大150人受け入れる方針についても、来年からの実施に加え、留学生の家族も受け入れることを明らかにした。
難民支援の拡充は、公明党が要請していたもの。公明党は、テロや貧困、飢餓など生存を脅かす脅威から人々を解放する「人間の安全保障」の考え方に基づき、難民と、その受け入れ国への支援に向けた政府の取り組みを強化するよう主張。昨年12月には、党難民政策プロジェクトチーム(PT)による中東難民キャンプ視察などを踏まえ、党外交部会と同PTが中東の難民支援拡充などで、国連機関に対する支援強化を要望していた。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、15年末時点の世界の難民数は第2次大戦以降で最悪の約6530万人に上り、中東やアフリカを中心に前年に比べて約580万人増えた。難民急増の最大の要因は泥沼化するシリア内戦だが、難民申請者によるテロが相次いだ欧州諸国は難民とテロを結び付ける風潮も根強く、受け入れに消極的な姿勢が強まってきた。増え続ける難民の問題は、国際社会全体で早急な取り組みが必要な課題であり、その重要性が増している。