eコラム「北斗七星」

  • 2016.10.19
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年10月19日(水)付



山懐に抱かれて、小ぶりな製材所があった。立ち寄り、作業を見学させてもらう。丸太から板が切り取られるたびに放たれる鮮烈な木の香りが、家具職人だった父の思い出を引き出す。「好きなんだねえ」と汗をふく所長さんがニッコリ笑った◆国内での需要のうち国産材がどのくらい占めるかを示す木材自給率は2015年33.3%となり、1985年以来30年ぶりに3分の1にまで回復した。さまざまな地道な取り組みがようやく実を結んだ◆けん引役は木材を燃料に使うバイオマス発電。国産材需要は14年より59.8%増加した。20カ所以上で発電、さらに30カ所以上で準備が進む。今や燃料供給体制の整備が叫ばれるほどに。温水を地域に供給する取り組みも広がりを見せる。燃やされるのは製材過程で出る切れ端や間伐材、おがくずなどを圧縮したペレットと呼ばれる小さな粒。雇用と環境対策として期待される◆また、3階以下の低層の公共建築物への国産材利用を促す促進法(10年10月施行)によって、学校や庁舎、福祉・文化施設の木造化も進み、14年度着工分では1割を超えた(床面積での比率)◆いずれも公明党による制度面での後押しの成果だ。木の香りに包まれて、子どもからお年寄りまでが時を過ごす時代が待ち遠しい。日本は森の国なのだから。(繁)

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